目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り
    2. 知識の補強
    3. 解法パターンの習得と計算力の増強
    4. 定番問題の習得
    5. 過去問・模擬試験を用いた演習

1. はじめに

東京工業大学は東京都にある国立大学である。化学の問題レベルは標準より難しい。無機の金属イオンの推定、有機の構造推定、高分子の構造推定など推定、考察する問題が多い。国公立大でよく出題のある説明問題や計算過程の記述はあまりなく、計算もそれほど複雑ではない。大学側は、単に暗記することを求めているわけではなく、考えられる学生を求めているためだろう。この記事では東京工業大学化学の入試問題から、傾向や特徴、勉強法、対策、おすすめの参考書について解説していく。

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2. 概要

2.1 試験日

(前期)
2月25日 1限:数学、2限:英語
2月26日 1限:物理、2限:化学

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式

(試験範囲)
化学基礎・化学

(試験時間)
120分

(解答形式)
全問記述式

2.3 配点

(前期)
150点(合計750点)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

大問が3題出題される。大問の中に3-5題の小問があり、大問のボリュームは小問の数とは関係なく、ほぼ一定に見える。近年では理論・無機で大問2題、有機・高分子で大問1題が出題されている。問題は定型問題よりも難しいだろう。全体の中で正誤問題が5問程度出題され、大きく2種類に分けられる。1つは単純にセンター形式のような正誤を選択する問題、もう1つは5つ程度の条件があり、条件を満たす化合物や構造を推定した後にそれに対する正誤を問う問題である。有機の構造推定(構造決定)のみならず、無機の金属イオンの推定、高分子の構造推定など考察が必要な問題が多い。国公立大でよく見られる説明問題や計算過程の記述はほとんど見られず、計算自体もそれほど複雑ではない。化学1科目で120分の試験なので、大問1つを35分程度が目安である。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学

例年大問1-2題が出題されている。全分野の中で理論の出題が最も多い。近年では、混合気体の分圧、窒素の水への溶解、イオン交換膜法、ギ酸と酢酸の混合溶液、直列の電気分解、フラーレンの結合エネルギー、アミノ酸の電離、過酸化水素の分解速度、融解熱、アルミニウムの融解塩電解、溶解度積、コロイド、反応速度と半減期、化学平衡、酢酸への水酸化ナトリウムの添加、鉛蓄電池の電解液、二酸化窒素の生成熱、プロパンの燃焼、再結晶、沸点上昇、ヘンリーの法則、混合気体の燃焼、気体の平衡、アンモニア-塩化水素の中和滴定が出題されている。問題は定型問題より難しいだろう。問題数も多いので、時間をかける問題とそうでない問題の見極めが重要となる。高校範囲外の内容はほとんど見られず、ベースは教科書の内容となっている。正誤問題を正しく紐解くためにも、まずは教科書本文の理解を進めていこう。

3.2 無機化学

例年大問0.5題程度が出題されている。近年では、気体発生反応、金属イオンの定性分析、充填率、六方細密構造の単位格子の密度、同族元素の特徴、無機化合物の推定が出題されている。金属イオンの推定と単位格子の問題がよく出題されている。ハロゲンのようなあるグループに注目した問題も多いので、教科書精読の際にはそのグループの特徴、グループの中でのそれぞれの特徴に注意しよう。

3.3 有機化学

例年大問1題弱が出題されている。近年では、アルコールの特徴、油脂の推定、アミノ酸誘導体の構造推定(構造決定)、アルケンへの水素付加、エステルの構造推定(構造決定)、アセチレンからの誘導、芳香族化合物の特徴、アルケンの特徴、フェノールの合成が出題されている。ほぼ例年のように構造推定(構造決定)が出題されているので、構造推定(構造決定)を中心に対策を進めるとよい。教科書記載の反応をすべておさえることができたら、構造推定(構造決定)の対策として重問や良問問題集を2周はしておきたい。炭化カルシウムと水の反応がよく出る。炭化カルシウムの組成式がCa2+ [C≡C]2-であり、水と反応してアセチレンHC≡CHとCa(OH)2を生成することを覚えておこう。なお、アセチレンがよく出題されるのは下記の高分子の推定に必要だからである。

3.4 高分子

例年大問0.3題程度が出題されている。近年では、アセチレンからの高分子合成、高分子の推定、セルロースの分解、半合成繊維、ヒドロキシ酸の重合、デンプンの重合度が出題されている。有機の構造推定に絡めての出題が多い。アセチレン出発の高分子の構造推定問題もしばしばみられる。教科書を読み進め、記載の反応をおさえていこう。高分子の重合度計算は難なく解けるように練習を積み重ねておきたい。

4. 勉強法とおすすめ参考書の紹介

4.1 教科書内容の振り返り

教科書を用意し、一章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の格好の材料になり、出題頻度も高い。東京工業大学では、定型問題より難しいレベルで出題される。ただし、高校範囲外の内容が出題されるわけではないので、ベースは教科書にある。教科書の内容をまずは理解していこう。

ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、4.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理していくと良い。読んでもすぐには理解出来ないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込むと良い。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておくと良い。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して、確認していくと良い。

○参考書
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)
『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集
『セミナー化学基礎+化学』(第一学習社)
『リードα 化学基礎+化学』(数研出版)

4.2 知識の補強

教科書の読解と対応する傍用問題集による演習を一通り行ったら、足りない知識を補強して行こう。模試や問題集で出会う難しい問題を見ると、もっと難しい問題を演習しないとと思うかもしれない、化学の学習では難問の理解よりも「満遍なく知識を身に付ける」ことの方が大事である。問題集を解き進める中で、覚えていなかったり忘れてしまったりして解けなかった問題もたくさんあるはずだろう。こういった知識問題を解きっぱなしにせずに、自分のノートに整理してまとめて、定期的に思い出せるように工夫して学習したい。
『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

4.3 解法パターンの習得と計算力の増強

4.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。。東京工業大学で出題される計算問題は3桁目を四捨五入する形(有効数字2桁)で指定されている。文字を使う問題も多いので、計算自体が多いわけではない。計算自体に時間をとられないように、手早く計算できるようにしておきたい。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身に付けていこう。

『化学〔化学基礎・化学〕基礎問題精講 三訂版』(旺文社)
『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)・・・ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い。
『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)・・・入試レベルの計算問題が良いという場合は、こちらの問題集で練習すると良い。

4.4 定番問題の習得

ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。東京工業大学では典型問題より難しいレベルで出題されている。定型問題をもう一歩発展させた形ともいえるので、定型問題に習熟しておきたい。特に〇〇の推定(考察)の問題は繰り返し解いておきたい。有機の構造推定(構造決定)は重問や良問問題集により対策しよう。

『実戦 化学重要問題集 – 化学基礎・化学』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

『化学〔化学基礎・化学〕標準問題精講』(旺文社)

『化学の新演習』(三省堂)

○参考書
『化学の新研究』(三省堂)

4.5 過去問演習

4.1-4.4をクリアしたら過去問演習に入りましょう。
『東京工業大学』(教学社)
本Stepでは以下の手順に沿って演習・復習に取り組めば、ただ普通に過去問を解くということをするよりも数段効果的であるのでぜひ参考にしてほしい:
1. まずは制限時間内で解いてみる。
2. 制限時間が終了した段階でここまでの出来を採点する。
3. 時間が足りずに解ききれなかった問題を、時間無制限で取り組み、答え合わせを行う
4. 自分に足りなかったポイントを列挙する。知識問題で間違えたなら今まで学習した項目のどの部分が抜けていたのか。考察問題で間違えたならどういった視点が足りないのか。時間があれば解けるもののスピードが足りないならどの部分の理解と練習が足りないのかといった観点を大事にしよう。
5. Step. 4に戻り、該当単元の演習を再度行った上で、周辺分野の知識をすべて整理する。
過去問をある程度進めたら、Step.4の自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めよう。直前期は基礎的な内容に取り組むよりも難しい問題ばかりに手を出したくなるが、大事なことは合格点を取ることである。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性の鍛錬の方がはるかに合格への近道と言えよう。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めたい。
全て解き終わったら、過去問の2周目に入るか、東大をはじめとした旧帝大の問題を解いてみてもいいだろう。

(参考)
名古屋市立大学|入試情報|学部入試情報|学生募集要項(一般・推薦・留学生・帰国生)