目次
- はじめに
- 概要
- 試験日
- 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 長文読解問題
- 自由英作文
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- 基本単語、文法の定着
- 標準レベルの単語、文法問題に取り組む
- 長文問題、英文和訳に取り組む
- 分野別の英単語、和文英訳に取り組む
- 過去問・模擬問題を用いた演習に取り組む
1. はじめに
大阪医科大学は、大阪府高槻市にある私立大学です。医学部には毎年傾向が変わる大学がある中で、大阪医科大学の英語の入試問題は、一定しています。試験問題は、英文和訳7題と和文英訳のみから成り、対策を立てやすい反面、難易度は高いです。英文和訳と和文英訳のみという試験構成は京都大学に似ており、国公立大学に近い傾向となります。
試験対策の詳細は下記に記載しますが、私立医学部しか受験しない場合、和文英訳が他の受験校で出るのかどうかも確認しておくと良いでしょう。
2. 概要
2.1 試験日
一般入試前期日程・研究医枠入学試験
1次試験:2019年2月11日(月・祝)
2次試験:20190年2月20日(水)
一般入試後期日程
1次試験:2019年3月10日(日)
2次試験:2019年3月19日(火)
2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
(試験科目・試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数学Aは「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」を、 数学Bは「数列」「ベクトル」を範囲とする。)
・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
(試験時間)
※一般入試前期日程・一般入試後期日程・研究医枠入学試験共通
1次試験
9:30〜11:10 数学(100分)
12:30〜14:30 理科(120分)※2科目選択
15:30〜16:50 英語(80分)
2次試験
※1次試験合格者のみ、小論文・面接試験を実施
2.3 配点
※一般入試前期日程・一般入試後期日程・研究医枠入学試験共通
1次試験
・数学(100点)
・理科(200点)
・英語(100点)
2次試験
不明
2.4 出題の傾向と特徴(概要)
大阪医科大学の英語入試問題は、国公立大学向きの傾向となっており、出題内容は、英文和訳7題と和文英訳3題のみという、私立医学部では非常に珍しい傾向となっており、ここ数年間、この傾向に変化はありません。したがって、試験対策は非常にしやすいのですが、難易度が高いため、注意が必要です。
長文のレベルはかなり高く、抽象度の高い英文なので、高度な英文読解力を身につけなければ、途中で何が書いてあるのか全くわからなくなってしまうことでしょう。また、英文ジャンルは医療系が多いものの、これまでに様々なジャンルの英文が出題されてきたので、幅広いジャンルの英文に慣れておくことが重要です。
和文英訳問題は、環境問題など時事的な話題が多く、日ごろからこれらの英単語に慣れているかどうかが大きく差を生みます。「地球温暖化」、「汚染」、「紛争」など、英語→日本語はできても日本語→英語ができないという人は、まずはインプットから対策をしていかなければならないので、後ほど対策について詳述します。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 英文読解
大阪医科大学の英文読解問題は、下線部和訳しか出題されません。したがって、やるべきことは非常に明確です。しかし問題はその難易度で、まず文章全体が抽象的なものが多く、ざっと読むと途中から意味がつかめなくなってしまいます。また、時間も80分しかないため、すべて記述問題であるということを考えると、あまり時間的余裕があるわけではありません。普段の対策としては、読解量を増やして、通常の英文読解速度(無理して速く読んでいない状態での速度)を高めると共に、高度なレベルの長文に読み慣れて、試験当日に何度も読み返さないようにすることが大切です。
また、英文の意味がいくら理解できても、和訳の答案作成力が低いと減点をされてしまいます。面倒ですが、和訳はしっかりと書き、自分が書いたものと模範解答を照らし合わせて、日本語の表現力を鍛えることも忘れてはいけません。
3.2 和文英訳
和文英訳問題は、通常の国公立大学の形式と同様で下線部の日本語を英訳します。環境問題など理系の話題が多いため、時事的な用語を英語で書けるかどうか確認しておくと大きな差が出てくるでしょう。意識して覚えようとしなければ、こうした単語はなかなか覚えることが難しいので、日常の習慣としているかどうかが問題になります。
単語と共に重要になるのが、文法と構文の知識です。和文の中には、文法を学習する際に出てくる決まり表現を使えば簡単に書くことができるフレーズが数多く出てくるので、それらに気づき、かつミスなく書くことがポイントとなります。文法を学習する際には、4択問題で正解して満足するのではなく、さらに正確に書くことができるかどうかという視点で臨みましょう。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
■Step.1:基本単語・文法の定着
大阪医科大学の英語では、難解な長文が出題される上に、英文和訳と和文英訳といういずれも正確な単語力が要求される形式の問題となっているので、基本単語に抜けが無いようにしなければなりません。長文が難しいと、つい難しい単語を覚えなければならないと考えてしまいがちですが、長文を読めばわかるように難しい単語が数多く出てきているわけではありません。単語の難易度とは別に、文章の抽象度が高いために難しいと感じてしまうのです。そこで、まずは下記に挙げるような基本的な単語帳から、しっかりと仕上げましょう。和文英訳に対応するためにも、英語から日本語の意味を答えるだけでなく、日本語から英単語を答える練習もしておかなければなりません。このレベルの単語は大丈夫だと思っていても、意外と日本語→英語はできないのではないでしょうか。
さらに、文法力に不安のある人は、文法問題集も一通り解いてみましょう。まずは、センターレベルまで完成させることを目標としなければなりません。
大阪医科大学は文法の4択問題が出題されないので、これをすることに意味が無いのではないかと感じる人もいるかもしれません。しかし実際には、このような4択問題ができて初めて和文英訳ができると考えるべきでしょう。また、このような基本的な文法問題集であっても、和訳を見て英語で書く練習をするなど活用方法を工夫すれば、和文英訳の対策に役立てることができるのです。
■Step.2:標準レベルの単語、文法問題に取り組む
続いて、レベルを上げて標準レベルの単語帳に取り組んでみましょう。こちらもStep1と同様に、英語→日本語だけでなく、日本語→英語も忘れずに行ってください。ただし、日本語→英語はかなり時間がかかると思うので、完璧にできなくても次のStepへ進んで構いません。
文法もStep1と同様に、まずは問題がほぼ全問正解できるまで繰り返し解き、次に和訳を見ながら英語で何度も書いてみましょう。この一見単調にも見える努力を続けることによって、正確な英文を書く基礎力が養われます。
『NEXT STAGE 英文法・語法問題 3rd Edition』(桐原書店)
■Step.3:長文問題、英文和訳に取り組む
長文の対策についてですが、上述したように英文和訳と和文英訳を中心に対策を立てる必要があります。下記に挙げる問題集には内容一致問題など様々な形式の問題が含まれていますが、併願校の対策にもなるのでやっておいた方が良いでしょう。
英文和訳は、模範解答と自分の解答を照らし合わせ、英文と和文を音読して日本語の表現力伸ばすようにしてください。日本語は、どうしても母国語であるために学習が疎かになりがちですが、英文和訳の解答力を上げるためには、このような地道な努力を怠らないようにしましょう。
長文にも英文和訳問題はついていると思いますが、他にも英文和訳に特化した問題集をこなすことによって、英文和訳を効率的に伸ばすことができます。
■Step.4:分野別の英単語、和文英訳に取り組む
Step2までで、一通り受験で使用する単語は出来上がっていますが、大阪医科大学の場合、和文英訳で理系の話題に関する単語が出る傾向があることから、話題別、特に理系の英単語を覚えておくことをおすすめします。単語帳であれば、下記に挙げるようなテーマ別の単語帳が覚えやすいのではないかと思います。
続いて、和文英訳に関してですが、難易度はそこまで高くありません。ただ、環境問題などに関する英単語を書くことになるので、アウトプットができないと減点されてしまうでしょう。そのためにも、上記で紹介したような単語帳、さらには使うべき構文の知識がきちんと備わっていることが和文英訳の基礎となります。4択問題であれば正しいものを選べても、きちんと練習しなければ正確に書くことはできません。以下に3冊挙げておきますので、順番に学習してみてください。
始めから闇雲に英語を書いてもなかなか伸びませんが、構文の暗唱、基本例文の定着、実践的な和文英訳というプロセスを経れば素早く定着させることができます。
■Step.5:過去問・模擬問題集を用いた演習に取り組む
Step4まで終了したら、過去問に取り組んでください。過去問は、3回解き直し、自分の弱点を1つずつ減らしていくようにしましょう。また、大阪医科大学は国公立と傾向が似ているので、国公立大学の過去問にも取り組んでください。ただし、英文の構造はそこまで複雑ではないので、SVやthatが大量に出てくるような英文解釈をする必要はありません。
問題の傾向が英文和訳と和文英訳のみという形式なので、つい難しい構文解釈などをしてしまいがちですが、それよりも抽象度の高い英文を読むことに努めてください。他の国公立大学でも良いですし、過去問に出典されている本を購入して読んでみるのも良いでしょう。例えば、2014年にはダンカン・ワッツ氏の『偶然の科学』(Everything is obvious)から出題されました。英語だけでは厳しいようであれば、日本語版と合わせて読んではどうでしょうか。受験勉強のちょうど良い息抜きになるかもしれません。
(参考)
大阪医科大学|受験生サイト|医学部医学科・入試情報|入学試験要項について|平成31年度 医学部医学科 入学試験要項