【医学部受験】昨年度全滅からの大逆転。センター9割、医学部一次10校合格を叶えた「基礎」の力
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1. はじめに

「センター数学は基本問題ばかりだから簡単!」
受験生ならば、このような言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、はたしてこれは本当なのでしょうか。

たしかにセンター試験の数学では、ⅠA、ⅡBともに教科書章末問題レベル~標準的な入試問題集レベルの典型問題ばかりが出題されます。その場で問題の解放を模索させる難問や、どの受験参考書でも見たことのないような奇問は出題されません。したがって、1問1問にじっくり時間をかけたり、計算効率を顧みずに力技で押し進めたりすれば、全問完答できる受験生も少なくないはずです。

しかし、現実の試験では制限時間が設けられています。じつはセンター数学の難しさは、問題そのものの難易度というよりは、その制限時間の厳しさにあるのです。数学ⅠA、ⅡBの試験時間はともに60分なのですが、この時間内に40問ほどの小問を解かなければなりません。試験本番では、ゆっくり丁寧に計算を進める時間も、ゆっくり答えを見直す時間もないのです。

「どの問題にどの公式を使うかわからないから、毎回いくつかの公式を試して “当たり” を探している」
「効率が悪いのは知っているけれど、それで必ず解けるからいつも同じ解き方をしている」
「普段から計算ミスが多いけれど、あとで直せばいいから気にしていない」

このような受験生は、センター試験を突破するために考え方をまずは改めなければなりません。センター数学に求められるのは、基本公式を的確に使いこなす力と、正確で迅速な計算処理を行なう力なのです

2. 数学ⅠAの出題傾向と単元別の対策のポイント

【問題構成と配点】

センター数学ⅠAは、大問4問(大問1~2は必答、大問3~5からは2問を選択)です。
大問ごとの主な出題分野と配点は次の通りです。

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ただし、出題分野は年によって変わることがあります。2016年度では「2次関数」ではなく「1次関数」からの出題でした。

では単元ごとに、頻出テーマとセンター数学の典型問題、対策のポイントを解説していきます。

■数と式

【頻出テーマ】
●多項式の展開・因数分解
└対称式の性質を利用した計算
●有理数・無理数の計算
└有理化や四則演算
└無理数の整数部分や小数部分の大きさを評価する問題
●1次方程式・不等式
└絶対値を含む方程式・不等式の問題
└連立不等式の解に含まれる整数の個数を考える問題

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「数と式」の典型問題をご紹介します。

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(2011年度センター試験本試 第1問より抜粋)

【対策のポイント】
「数と式」の分野では、典型問題に挙げたような無理数の四則演算、絶対値つきの方程式・不等式をはじめ、連立不等式の解に含まれる整数の個数を考える問題が頻出です。ひとつひとつの問題は基本的なものですから、有理化の計算、絶対値の外し方など、教科書レベルの基礎知識を確実に身につけておけば充分に対応できます。教科書傍用問題集やセンター対策用の単元別問題集を解いて演習しましょう。

■集合と命題

【頻出テーマ】
●集合の包含関係・和集合・共通部分
└「〇〇で割り切れる整数」の個数を数える
└不等式の解の範囲と集合の包含関係の絡み
●命題の逆・裏・対偶とそれらの真偽
└条件の否定を答えさせる
└ある命題とその対偶命題の真偽が一致することの利用
●必要条件・十分条件の判定
└有理数、無理数の四則演算に関する問題
└整数(倍数、約数)に関する問題

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「集合と命題」の典型問題をご紹介します。

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(2010年度センター試験本試 第1問より抜粋)

【対策のポイント】
「集合と命題」の単元では、まずは教科書に記載されている基本事項を確実に覚えることが重要です。命題の逆・裏・対偶という言葉が何を指すのか正しく覚えましょう。命題の真偽や必要条件・十分条件の判定では、瞬時に「反例の有無」を見極められるかどうかがキーポイントになります。教科書傍用問題集に載っている典型問題を解いて、反例の見つけ方を覚えましょう。

■2次関数

【頻出テーマ】
●放物線のグラフ
└平方完成して頂点の座標や軸の方程式を求める
└放物線のグラフを平行移動させる
└放物線のグラフを軸や原点に関して対称移動させる
└2次関数の式(未定係数)の決定
●最大値・最小値
└頂点のy座標の最大値・最小値を求める問題
└定義域が動くタイプの場合分け
└軸が動くタイプの場合分け
●放物線と座標軸の位置関係
└放物線とx軸の共有点
└放物線がx軸から切り取る長さ
└解の配置(2次方程式の解の値や符号を決める)
└放物線のグラフをもとに2次不等式を解く

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「2次関数」の典型問題をご紹介します。

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(センター試験2009年度本試 第2問より抜粋)

【対策のポイント】
2次関数はほぼ毎年出題される重要な単元です。例年では文字定数を含む2次関数の平方完成や、放物線のグラフの平行移動・対称移動、最大値・最小値といった問題が出題されています。その中でも最大値・最小値(定義域や軸が動くタイプの場合分け)は出題頻度が高いので対策必須です。
センター試験では誘導がついているとはいえ、平方完成や平行移動の仕方といった基本事項、最大値・最小値の場合分けの仕方(定型解法)を知らずに問題を解くことはできません。まずは教科書傍用問題集やセンター対策問題集を解いて、これらの事項を身につけましょう。

■図形と計量

【頻出テーマ】
●三角比の値・三角形の角や辺の大きさ
└有名角(30°、45°、60°、…)の三角比の値
└三角比の定義と相互関係
└正弦定理、余弦定理
└三角形の面積公式
●三角形・四角形と円の融合
└三角形の内接円の半径
└三角形の外接円
└円周角の定理
└円に内接する四角形の性質

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「図形と計量」の典型問題をご紹介します。

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(センター試験2009年度本試 第3問より抜粋)

【対策のポイント】
近年「図形と計量」の分野では、空間図形よりも平面図形の出題頻度がずっと高い傾向にあります。平面図形では、典型問題で紹介したような、円に内接する三角形や四角形に関する問題が頻出です。正弦定理・余弦定理、三角形の面積公式といった教科書レベルの公式を確実に覚えていなければなりません。さらに、中学で学習する円の性質(円周角の定理、円に内接する四角形の対角の和は180°、など)、平行線の性質(線分の長さの比、同位角・錯角、など)、相似な図形の性質(角の相当、辺の長さの比、面積比、など)、三角形の合同に関する知識も求められます。高校数学の範囲で教科書傍用問題集の基本問題を解けるようにしておくことはもちろんですが、中学数学の範囲に穴がある場合はきちんと対策しましょう。中学生向けの問題集を使ってもよいですし、高校生向けの参考書の中には「中学の復習」のページが設けられているものがあります。
また、平面図形に比べると出題頻度は低いですが、空間図形に関する問題もまれに出題されることがあります。最近では、直方体の内部に取った三角形と四面体(2006年度本試験)に関する問題が出題されました。今後も空間図形の出題がないとは言えませんので、対策を忘れないようにしましょう。

■データの分析

【頻出テーマ】
●データの代表値
└平均値、中央値、最頻値などの統計量の計算
●データの分布
└度数分布表、ヒストグラムの読み取り
●データの散らばり
└データの範囲、四分位数、分散、標準偏差などの統計量の計算
└箱ひげ図の読み取り
●データの相関
└共分散・相関係数の計算
└散布図の読み取り

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「データの分析」の典型問題をご紹介します。

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(センター試験2015年度 問題例より抜粋)

【対策のポイント】
データの代表値(平均値、中央値、最頻値など)や四分位数、分散(標準偏差)、相関係数などの統計量を求める計算問題が出題されます。またヒストグラム、箱ひげ図、散布図から読み取れる情報を問う考察問題も頻出です。この分野では、上記のような統計量の定義式を正しく覚えていることが求められます。曖昧な知識は本番では使い物にならないので、教科書傍用問題集を解いてアウトプットしながら覚えましょう。また表やグラフの読み取り問題に関しては、データの散らばりが大きいと箱ひげ図はどのような形になるか、相関係数の正負と散布図の見た目にどんな関係があるかなどの視覚的な情報も覚えておきましょう。

■場合の数・確率

【頻出テーマ】
●場合の数
└集合の要素の個数のカウント
└和の法則、積の法則を用いた場合の数のカウント
└順列、組み合わせの式を用いた場合の数のカウント
●確率
└場合の数の比から確率を求める
└反復試行の確率
└条件つき確率

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「場合の数・確率」の典型問題をご紹介します。

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(センター試験2008年度本試 第4問より一部抜粋)

【対策のポイント】
この分野では毎年のように確率の問題が出題されています(2015年度の本試験は例外で、場合の数(1列に並んだ正方形の塗り分け)のみが出題されました)。扱うテーマはカード・球の取り出し方、さいころの目の出方、文字の並び方、経路の取り方、座標軸や図形上の点の移動など様々です。またセンター数学の特徴でもありますが、例えば「さいころを振って出た目の数に応じて平面図形上の点を移動させる」のような複数の思考を組み合わせた問題が頻出です。
対策は教科書傍用問題集から始めて、場合の数・確率の基本的な計算問題をマスターしましょう。漠然と解くのではなく、「確率の問題は見かけ上区別のないものでも区別をつけて考える」などの基本事項をしっかりと理解することが大切です。それができたら、センター対策用の単元別問題集で、センター数学の出題傾向に合わせた問題を演習しましょう。

■整数の性質

【頻出テーマ】
●約数、倍数の性質
└素因数分解
└最大公約数、最小公倍数
└余りによる整数の分類
└ユークリッドの互除法
└不定方程式
●n進法
└10進数からn進数への変換(またはその逆)
└n進数の桁数

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「整数の性質」の典型問題をご紹介します。

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(センター試験2015年度 問題例より抜粋)

【対策のポイント】
1次不定方程式(ax+by=c)、最大公約数・最小公倍数、n進法に関する問題が頻出です。センター試験では基本に忠実な問題の出題が多いため、「素数」や「互いに素」といった基本的な言葉の定義は正しく書けるようにしておきましょう。そのうえで、教科書傍用問題集やセンター対策用の単元別問題集を使って、最大公約数・最小公倍数に関する性質や、ユークリッドの互除法を解いてマスターしておきましょう。

■図形の性質

【頻出テーマ】
●三角形の性質
└三角形の角の2等分線の公式
└重心、外心、内心の定義や性質
└チェバの定理、メネラウスの定理
●円の性質
└円に内接する四角形の性質
└円と直線の位置関係
└接弦定理
└方べきの定理
└2円の位置関係
●空間図形の性質
└空間上の直線や平面の位置関係
└多面体の性質

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「図形の性質」の典型問題をご紹介します。

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(センター試験2016年度本試験 第5問より)

【対策のポイント】
平面図形(主に三角形と円)に関する問題が頻出です。この分野の基本事項として、三角形の内角の2等分線の公式、三角形の五心(外心、内心、垂心、重心、傍心)の定義、円に関する諸公式(円周角の定理、接弦定理、方べきの定理)を覚えておきましょう。チェバの定理・メネラウスの定理を用いる比の計算問題も頻出です。また、2つの三角形が相似であることを証明する問題が穴埋め形式で出題されることがあります。マーク式だからといって油断しないようにしましょう。

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3. 数学ⅡBの出題傾向と単元別の対策のポイント

【問題構成と配点】

センター数学ⅡBは、大問4問(大問1~2は必答、大問3~5からは2問を選択)です。大問ごとの出題分野とそれらの配点は次の通りです。

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「確率分布と統計的な推測」は実質的に選択肢に含まれないため、大問3~4を選択することになります。また、ここに記載されていない「いろいろな式」や「図形と方程式」の分野は、たいてい大問1~2の分野との融合問題として出題されます。詳細は後述しますが、「図形と方程式」は分野単独で出題されたことがあります。

■図形と方程式

【頻出テーマ】
●点と直線
└2点間の距離
└内分点、外分点の座標計算
└直線の方程式
└点と直線の距離
●円の方程式
└円の方程式
└円と直線の位置関係
└2円の位置関係
●軌跡と領域
└軌跡と方程式
└アポロニウスの円
└不等式と領域
└線形計画法

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「図形と方程式」の典型問題をご紹介します。

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(2014年度本試験 第1問[1]より)

【対策のポイント】
センター試験では「点と直線」「円と直線」「放物線と直線」のテーマが扱われることが多いのですが

センター試験では「点と直線」、「円と直線」、「放物線と直線」のテーマが扱われることが多いのですが、これらは図形と方程式の分野単独で出題されることは稀です。大抵の場合は微分積分との融合問題として出題されます。
しかし、これまでに2013年度本試験ではじめて分野単独での出題がありました。続く2014年度本試験で分野単独で出題されているので、対策を怠らないようにしましょう。

■三角関数

【頻出テーマ】
●三角関数の定義と相互関係
●三角関数のグラフ
●加法定理、2倍角の公式、半角の公式
●三角関数の合成

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「三角関数」の典型問題をご紹介します。

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(2011年度本試験 第1問[1]より)

【対策のポイント】
この分野からは、三角関数の方程式・不等式や最大値・最小値に関する問題を中心に出題されます。数学Ⅰの三角比でも学習する三角関数の相互関係の式をはじめ、加法定理、2倍角の公式、半角の公式、三角関数の合成など、様々な種類の公式を的確に使いこなす力が求められます。例えば「sinθとcosθの1次の和(差)ときたら合成」というように、各公式の使いどころを理解しておきましょう。また三角関数と平面図形(三角形や円)を融合した問題や、三角関数のグラフの周期を問う問題が出題されることがあります。こちらもないがしろにせずに対策を行なう必要があります。

■指数関数・対数関数

【頻出テーマ】
●指数・対数の基本的な計算問題
●指数関数・対数関数のグラフ
●指数方程式・不等式
●対数方程式・不等式
●指数関数・対数関数の最大値・最小値

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「指数関数・対数関数」の典型問題をご紹介します。

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(2010年度本試験 第1問[1]より)

【対策のポイント】
指数・対数の基本的な計算問題、指数方程式・不等式、対数方程式・不等式が出題されます。指数関数では指数法則、指数関数のグラフの性質(底の大きさによる増加・減少の変化)について理解しておきましょう。対数関数では、対数の計算、対数関数のグラフの性質(底の大きさによる増加・減少の変化)、常用対数による桁計算や最高位の数字の求め方について理解しておきましょう。また2次関数の最大値・最小値、相加・相乗平均の関係、解と係数の関係といった、他分野の要素と組み合わせた問題が頻出です。2次関数や整式の分野についても、教科書章末レベルの問題が解けるくらいに基本事項をしっかりと身につけておきましょう。

■微分法・積分法

【頻出テーマ】
●接線、法線の方程式
●関数の極大値・極小値
●関数の最大値・最小値
●高次方程式の実数解の個数
●積分計算
●曲線が囲う面積

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「指数関数・対数関数」の典型問題をご紹介します。

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(2011年度本試験 第2問より)

【対策のポイント】
数式系の問題では、関数の増減を調べて極値を求める問題や、定積分を含む等式から関数を決定する問題などが出題されます。また図形系の問題では、接線の方程式や関数のグラフが囲む図形の面積を積分計算する問題が中心です。図形と方程式の分野との融合問題も頻出です。センター試験では「点と直線」「円と直線」「放物線と直線」のテーマが扱われることが多いのですが、これらは図形と方程式の分野単独で出題されることはまれです。たいていの場合微分積分との融合問題といして出題されます。しかし2013年度本試験と2014年度本試験では「軌跡」「不等式と領域」の問題が分野単独で出題されていますので、対策を怠らないようにしましょう。

■数列

【頻出テーマ】
●等差数列の一般項と和の公式
●等比数列の一般項と和の公式
●和の記号Σと計算公式
●階差数列
●数列の和と一般項の関係式
●群数列
●漸化式(隣接二項間漸化式、連立漸化式)
●数学的帰納法

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「数列」の典型問題をご紹介します。

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(2014年度本試験 第3問より)

【対策のポイント】
等差・等比数列の一般項や和の計算をはじめ、Σ公式を用いた数列の和の計算、漸化式、群数列、(出題頻度は低いが)数学的帰納法と、数列分野のほぼすべての単元から出題されます。例年は上記の単元からいくつかの要素を組み合わせた融合問題が出題されています。例えば前半に複数の数列を別個に扱い、後半でそれらを組み合わせたり共通項を取ったりして新しい数列を作るといった問題が頻出です。基本的に誘導に従って計算を進めればよいのですが、誘導文はそれほど親切ではないので、「行間」を自分で考えなければなりません。

■ベクトル

【頻出テーマ】
●ベクトルの演算
●ベクトルの成分
└ベクトルが作る三角形の面積公式
●位置ベクトルの計算
└内分・外分の公式
└重心の定義
└2直線の交点の位置ベクトル
●ベクトル方程式
└直線のベクトル方程式
└円のベクトル方程式
└平面のベクトル方程式

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「ベクトル」の典型問題をご紹介します。

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(2016年度本試験 第4問より)

【対策のポイント】
平面ベクトル・空間ベクトルともに、座標との融合問題や図形と絡めた面積・体積の計算問題が頻出です。平面ベクトルでは直線、多角形、円を扱う問題が出題されます。一方で空間ベクトルでは空間座標上の直線、球、四面体などの図形を扱います。まずは教科書傍用問題集を使って、ベクトルの大きさや内積の公式、内文・外分の公式、重心の定義式、平行条件・垂直条件などの基本事項をしっかりと身につけましょう。またセンター試験では、共線条件(3点が同じ直線上にあるための条件)、共面条件(4点が同じ平面上にあるための条件)を理解していないと手が出ない問題が頻出です。

■確率分布と統計的な推測

【頻出テーマ】
●確率変数の平均・分散・標準偏差
●二項分布と正規分布
●母平均、母比率の推定

【典型問題】
前述の頻出テーマの一部にはなりますが、「確率分布と統計的な推測」の典型問題をご紹介します。

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(2015年度 問題例より)

【対策のポイント】
期待値と分散、二項分布、正規分布、推定などのテーマを扱う分野です。この分野は普通高校の指導要領では扱わないので、参考書も少ないなか自力で学習しなければなりません。たとえ数列やベクトルが苦手だとしても、この問題は選択しないほうがよいでしょう。したがって対策方法の記述は省略します。

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4. センター数学は時間が足りない!? ~試験本番で求められるスピードと時間配分~

■センター数学は小問1問あたり90秒!

センター試験はまさに時間との勝負です。数学ⅠA・ⅡBともに、制限時間60分に対して、(年度や選択問題によって多少は変わりますが)小問が40個前後出題されます。単純に考えれば、小問1個あたり90秒で答えを出してマークシートに記入していくことになります。

センター数学とは、短時間にたくさんの問題を解く処理能力を求められる試験なのです。

■数学ⅠA・ⅡBの時間配分

前述したように、数学ⅠA・ⅡBともに、試験時間60分に対して大問4題の構成です。単純に割り算をすると、大問1題あたり15分で解くことになります。しかし実際は、(あとで詳しく述べますが)大問ごとに問題量や計算量が異なるため、時間配分に偏りをつけることになります。

【数学ⅠA】

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全大問の中でも必答問題は出題範囲が広いため、問題量が多い傾向にあります。さらに必答問題には2次関数(最大値・最小値の場合分け)、データの分析(数多くの数値データから統計量を計算)が含まれるため、計算量も多くなる傾向にあります。

一方で選択問題は、問題量が比較的少ないため、(過去問演習をしてすばやく解く練習をすれば)大問1題を解くのに15分もかからないはずです。

このような理由から、各大問の時間配分は、必答問題に18分、選択問題に12分としています。

※ただし、これはあくまでも参考であるため、自分にとってベストな時間配分はセンター過去問演習を行なう時期に決めましょう。数学ⅠA各分野の得意・不得意に応じて調整してください。

【数学ⅡB】

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こちらも数学ⅠAと同様に、全大問の中でも必答問題の出題範囲が広く、問題量が多い傾向にあります。また、必答問題の中でも三角関数や微分積分は難易度がやや高く、計算量も多い傾向にあります。

一方、選択問題は出題範囲が狭いため、問題量は比較的少ない傾向にあります。(過去問演習をしてすばやく解く練習をすれば)大問1題あたり12~13分で解けるのではないでしょうか。

このような理由から、各大問の時間配分は数学ⅠAと同じく、必答問題に18分、選択問題に12分としています。

※ただし、これはあくまでも参考であるため、自分にとってベストな時間配分はセンター過去問演習を行なう時期に決めましょう。数学ⅡB各分野の得意・不得意に応じて調整してください。

■時間が足りなくなる原因は「計算スピードが遅い」だけじゃない?

センター数学は、短い試験時間の中でたくさんの問題を解く試験です。しかし、「すばやく問題を解けと言われても、今から計算スピードを上げるなんて……」といった声が受験生から聞こえてきそうですが、実はセンター数学で時間が足りなくなる原因は、必ずしも計算スピードが遅いだけではないのです。

時間が足りなくなってしまうのは、以下のようなロスがあるからと考えられます。

・誘導にうまく乗れず(=出題者の意図を汲み取れず)余計な計算をしている
・(図形の問題で)自分が書いた図が見にくいため解きづらくなる
・計算ミスや場合の数の数え漏れに気づいたが、どこに何を書き残したかわからなくなったため初めからやり直す

逆に言えば、こういった時間のロスを防ぐことができればいいわけです。すると結果として、たとえひとつひとつの問題を解く計算スピードが遅くとも “早く” 問題が解けることになるのです。

5. 計算スピードに自信がなくても大丈夫!?本番で使える“時短”テクニック

■出題者の意図した通りに解こう

「計算過程はどうでもいいから、とにかく答えが出ればいい」という考えは、制限時間の厳しいセンター数学では非常に危険です。なぜならば、センター数学ではあらかじめ出題者が考えた解法の流れがあり、受験生はそれに沿って問題を解くことを要求される試験だからです。つまり出題者の意図に沿わない解き方を選択してしまうと、得点にならない無駄な計算をしてしまうことになります。

出題者の意図を読み取るコツは、はじめの空所から最後の空所までを通して読み、問題全体のストーリーを把握することです。そうすれば、最終的に何を求めさせようとしているのか、そこに到達するまでにどんなプロセスを踏ませようとしているのか、といった意図がわかります。

■図をフリーハンドで大きく正確に描こう

センター数学ⅠA・ⅡBでは毎年、グラフや図形の作図が必要な問題が出題されます。はじめのうちはシンプルで簡単な図でも、問題を解き進めるにつれて次々と新しい情報が追加されていき、最終的にできあがる図が複雑になることも珍しくありません。

そこで、見やすいように大きく、辺の長さや角度の大小関係がおかしくならないように正確に描くことが重要です。さもないと問題を解いている最中に、図が見づらくて書き直すことになってしまいます。

また、図をきれいに描くだけで得をする面もあります。例えば平面図形の問題では、角度の大きさや辺の長さの見当がつくことがあります。

センター試験では定規やコンパスは使えません。普段からフリーハンドできれいな図を描く練習をしておきましょう。

■途中計算はきれいに残しておこう

センター試験はマーク式ですので、もちろん途中計算は採点対象になりません。しかし、だからといって、途中計算を大雑把に行なえば時間を短縮できるというわけでもありません。

これは、数学ⅠAの2次関数や数学ⅡBの微分積分のように、計算量が多くミスを誘発しやすい問題がたくさんあるためです。たくさんの時間と労力をかけてようやくたどり着いた答えがもし空所に合わなかったら……。考えただけでも恐ろしいものですよね。

こんなとき、もし途中計算が残っていなかったとしたら、初めから解き直すはめになってしまいます。あるいは途中計算が残っていたとしても、どこに何が書いてあるのかわからない状態では、ミスの発見が遅れてしまう可能性もあります。しかし途中計算がきれいに残っていれば、そういった心配も減らすことができます。

じつはセンター試験の問題冊子には、すべての問題の途中経過を残せるだけの充分な白紙ページが用意されていません。また問題ページの余白もあまり広くはありません。

そこで、暗算で瞬時に計算できるものは途中計算は残さず、計算ミスをしやすい問題や場合分けが必要な問題の途中経過を残すといった工夫をして、限られた余白スペースを有効に使うようにしましょう。

■表を作成して場合の数や数値を整理しよう

センター数学では、1問を解くのにたくさんの数値や項、場合の数を扱う問題が出題されます。例えば以下のようなケースです。

・データの分析……平均値や分散などの統計量の計算
・場合の数・確率……試行の結果の場合分けが必要なときにひとつひとつ書き出す
・整数……不定方程式の解の候補を書き出す
・数列……その場で与えられた数列の規則を見抜くために具体的に項を書き出す

前述の通り、センター数学の問題冊子には計算スペースが充分に用意されていません。たくさんの数値や場合の数を整理しないで思うままに書き出すと、あっという間に余白がなくなってしまいます。そうすると、1問解いたあとに次の問題に取りかかる際、せっかく書き出した情報を消さなければ計算スペースが確保できなくなってしまいます。

またセンター数学は、誘導問題になっているケースが非常に多いため、前の問題で考えた場合の数を次の問題でも利用することがあります。きれいな表に情報が残っていることで、スムーズに問題を解き進めることができますよ

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6. 過去問っていつから始める? 目標得点別のおすすめ勉強法3選

■得点率7割を目指す勉強法

ここでは、数学が苦手な受験生や、センター数学の得点をあまり重視しない国公立文系の受験生を対象とした学習方法を解説します。

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【短期集中基礎固め】

先に述べた通り、センター数学には解き方のコツがあります。本番までにこれを身につけることを考えると、遅くとも7月から対策を始め、8月末(夏休み中)までには数学ⅠA、ⅡBの基礎を固めておく必要があります。

しかしこの時期は、英語や国語、理科などの主要科目にも充分な学習時間を割かなければなりません。そのため、使用する教材は「10日間完成シリーズ」や「1ケ月完成シリーズ」のような、短期間で終えられる薄い問題集がおすすめです。数学ⅠA、ⅡBともに1ケ月ほどでひと通り問題集を解き終え、重要な公式や定型問題の解法を身につけましょう。

また「2次関数」や「三角関数」など苦手な分野がはっきりしている場合は、問題集を必ずしもまんべんなく解く必要はありません。苦手分野の問題だけを2、3周するなどして、短期間に苦手を克服しましょう。

【単元別マーク問題演習】

教科書の内容を総復習できたら、単元別に整理されたセンター対策用問題集を使った演習を行ないます。これを使用することで、覚えた公式をアウトプットすることで定着させ、実際の試験形式(穴埋め式の誘導問題)に慣れることができますし、苦手な分野を集中的に演習することもできます。

「1ケ月完成〇〇」のような薄めの問題集を2周するとよいでしょう。

【センター対策演習】

単元別マーク問題演習で充分な演習量を積んだら、あとはセンター本番に向けた過去問演習です。マークシートに自分の解答を記入する練習も兼ねていますから、本番同様60分できちんと時間を計って問題を解いてください。あくまで目安ですが、得点率7割をとるためには、センター試験本番までに次の条件をクリアしていることが重要です。

・(苦手な分野はあるが)教科書に載っている基本事項をマスターしている
・センター過去問を数学ⅠA、ⅡB各5年分以上解いている
・(過去問の1年分について)60分で各大問の最後の2~3問が残る程度

■得点率8割を目指す勉強法

ここでは、上位国公立大学を志望する受験生や、センター利用入試で上位私立理系大学の合格を目指す受験生を対象とした学習方法を解説します。

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【教科書レベルの基礎固め】

センター数学に出題される問題は、教科書章末レベル~入試標準レベルの典型問題です。独特の誘導問題を出題することもありますが、その中身は教科書レベルの問題を組み合わせた問題です。まずは教科書レベルの基本事項を総復習しましょう。4月~6月末までには、数学ⅠAとⅡBの基礎をひと通り復習しておくとよいでしょう。

4stepなどの教科書傍用問題集をひと通り解くのもよいですし、チャート式シリーズやフォーカスシリーズなどの網羅系問題集を解いてもよいでしょう。ただし網羅系問題集は問題量が多いので、基本例題や重要例題のみに絞るなどして使い方を工夫しましょう。

【単元別マーク問題演習】

教科書の内容を総復習できたら、単元別に整理されたセンター対策用問題集を使った演習を行ないます。これを使用することで、覚えた公式をアウトプットすることで定着させ、実際の試験形式(穴埋め式の誘導問題)に慣れることができますし、苦手な分野を集中的に演習することもできます。

緑チャートのような収録問題数の多いものを使ってもよいですし、「1ケ月完成〇〇」のような薄めの問題集を2~3周するのもよいでしょう。

【センター&マーク模試の過去問演習】

単元別マーク問題演習で充分な演習量を積んだら、あとはセンター本番に向けた過去問演習です。マークシートに自分の解答を記入する練習も兼ねていますから、本番同様60分きちんと時間を計って問題を解いてください。あくまで目安ですが、得点率8割を取るためには、センター試験本番までに次の条件をクリアしていることが重要です。

・(苦手な分野はあるが)教科書に載っている基本事項をマスターしている
・センター過去問を数学ⅠA、ⅡB各10年分解いている
・(過去問の1年分について)60分で解き終えられるか、各大問の最後の1~2問が残る程度

■得点率9割以上を目指す勉強法

ここでは最難関国公立大学を志望する受験生や、センター利用入試で医学部をはじめとする上位私立理系大学の合格を目指す受験生を対象とした学習方法を解説します。

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【教科書レベルの基礎固め】

センター数学に出題される問題は、教科書章末レベル~入試標準レベルの典型問題です。独特の誘導問題を出題することがありますが、その中身は教科書レベルの問題を組み合わせた問題です。まずは教科書レベルの基本事項を総復習しましょう。5月末までには数学ⅠA、ⅡBの基礎をひと通り復習しましょう。

4stepなどの教科書傍用問題集をひと通り解くのもよいですし、チャート式シリーズやフォーカスシリーズなどの網羅系問題集を解いてもよいでしょう。ただし網羅系問題集は問題量が多いので、基本例題や重要例題のみに絞るなどして使い方を工夫しましょう。

【単元別マーク問題演習】

教科書の内容を総復習できたら、単元別に整理されたセンター対策用問題集を使った演習を行ないます。これを使用することで、覚えた公式をアウトプットすることで定着させ、実際の試験形式(穴埋め式の誘導問題)に慣れることができますし、苦手な分野を集中的に演習することもできます。

緑チャートのような収録問題数の多いものを使ってもよいですし、「1ケ月完成〇〇」のような薄めの問題集を2~3周するのもよいでしょう。

【センター対策過去問演習】

単元別マーク問題演習で充分な演習量を積んだら、あとはセンター本番に向けた過去問演習です。マークシートに自分の解答を記入する練習も兼ねていますから、本番同様60分きちんと時間を計って問題を解いてください。過去問は週に1~2年分程度でよいでしょう。

【センター直前演習】

センター直前期では本番を想定した時間配分調整を行ないます。センター予想問題集を解いて演習しつつ、自分の得意不得意に応じて1分単位で時間配分を調整しましょう。あくまで目安ですが、得点率9割を取るためには、センター試験本番までに次の条件をクリアしていることが重要です。

・教科書に載っている基本事項をマスターしている
・時短テクニックを使いこなせる
・センター過去問を数学ⅠA、ⅡB各10年分以上解いている
・(過去問の1年分について)5分以上残して全問解き終えられる

7. センター数学の勉強におすすめの参考書3選

■『新課程 チャート式 センター試験対策 数学 IA+IIB』(通称:緑チャート)

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新課程 チャート式 センター試験対策 数学 IA+IIB

数研出版

【対象となる受験生】
・教科書傍用問題集または短期集中型の基本問題集を終えたばかり
・センター試験の目標得点率が7~8割以上

【本書の使用方法】
有名なチャート式シリーズのセンター対策版です。表紙は緑色であるため、通称「緑チャート」と呼ばれています。本書の構成は青チャートや黄チャートと同様です。数学ⅠAⅡB各分野の問題について、そのテーマごとに基本例題や重要例題、演習問題が収録されています。まずは例題で問題の解法やそのポイントをインプットし、演習問題でそれをアウトプットするという形で使用しましょう。

【本書の特長】
本書の特長はその収録問題数の豊富さにあります。例題だけでも196題、演習問題も合わせれば465題にもなります。これだけたくさんの問題を解けば、本書をひと通り解き終えた段階でセンター試験の過去問演習に入っても充分に対応できるはずです。また、本書の例題や巻末にはセンター本番で使える時短テクニックが収録されています。
ただし、465題という問題量は使用開始時期によっては少し多いかもしれません(1日5題解いたとしても約3ケ月かかってしまいます)。センター本番までに時間がない場合は、本書の例題のみに絞って解くなどして工夫しましょう。

■『解決!センター数学』シリーズ

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解決! センター数学I・A[新装版]

Z会

kaiketsu-sugaku-2b

解決! センター数学II・B[新装版]

Z会

【対象となる受験生】
・すでに教科書傍用問題集または短期集中型の基本問題集を終えている
・センター試験の目標得点率が8~9割

【本書の使用方法】
本書は数学ⅠA(ⅡB)の分野が章ごとに分けられており、各単元の問題のテーマごとに例題と類題(演習問題)を解いていく構成です。問題の難易度は「基本事項の確認」→「過去問+類題にTRY」→「仕上げ問題にTRY」という具合にステップアップします。

【本書の特長】
本書は基本レベル~センター試験レベルの問題がコンパクトにまとまっています。例えば本書の数学ⅠAでは、第1章(数と式)の「基本事項の確認」に例題5題、「過去問+類題にTRY」に例題5題と類題5題、「仕上げ問題にTRY」に演習問題2題の合計17題が収録されています。数学ⅠAは全8章なので全部で140題程度の収録数です。適度に問題集が絞ってあるため解答・解説のページの行間がすっきりしていて非常に見やすく、試験本番で使える時短テクニックの解説まで記載されています。

■『センター試験必勝マニュアル』シリーズ

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センター試験必勝マニュアル 数学1A

東京出版

center-hissyou-2b

センター試験必勝マニュアル 数学2B

東京出版

【対象となる受験生】
・教科書傍用問題集レベルの問題はマスターしている
・すでにセンター過去問演習を始めている
・センター試験の目標得点率が9割以上

【本書の使用方法】
本書では数学ⅠA(ⅡB)の分野が章ごとに分けられています。各章には単元ごとにセンター対策用に特化した解法のテクニックとその例題が収録され、章末には演習問題も収録されています。例題で解法テクニックをインプットし、章末の演習問題でアウトプットする流れで使用します。

【本書の特長】
本書はセンター数学の出題傾向に合わせた時短テクニックを身につけるための参考書です。ここで紹介されているテクニックには、教科書レベルの知識でも実践できるものから、教科書には載っていない高度な知識や計算を求められるものがあります。数学が苦手な場合や、教科書傍用問題集を解き終えていない(基礎が固まっていない)段階で手を出すのはおすすめできません。本書では章末の演習問題の解説を「実況中継」形式で書いています。解法テクニックを使う過程を受験生の目線で話し言葉を使って解説しているため、人によっては読みにくいと感じるかもしれません。

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センター試験の出題傾向や、目標得点別の対策スケジュールを紹介いたしました。この記事がセンター試験の対策に悩む受験生の皆さんの道しるべとなることを願います。