目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

近畿大学医学部は、大阪府大阪狭山市にある私立医学部である。その他14学部を有するマンモス大学であり、卒業生は2016年度現在で50万人近くもいるそうで、日本大学、早稲田大学、明治大学に次ぐ規模となっている。

難易度は私立医学部の中では中間くらいに位置しているが、問題の難易度は私立医学部の中でもやや高めとなっており、合格するためにはかなり準備をしておかなければならない。

以前は面接試験が課されていなかったために、再受験に対してはかなり寛容な大学として位置づけられていた。しかし、最近では面接試験の導入が開始され、依然と比較して合格年齢層は下がってきているといえる。また、現役生と一浪生を確保するために推薦制度があり、それによる入学者は全体の2割弱となっている。2016年度以降は、大学側の路線変更もあり多浪生への寛容度は若干ではあるが下がってきている。

医学部の教育システムでは、「テュートリアルシステム」と「クリニカルクラークシップ」という制度を設けており、少人数での教育に重点を置いているのが特徴である。また、医学部のホームページには、患者が中心となる医療を先取りし、「温かい心」と「優れた医療技術」を身につけた医師・医学者の育成を目指している旨が記載されている。

「分からないところが分からない」状態からの大逆転! 筑波大医学部合格をつかんだパーソナルトレーナーとの1年間
人気記事

2. 概要

2.1 試験日

一般入試
【前期日程】
1次試験:2019年1月27日(日)
2次試験:2019年2月10日(日)

【後期日程】
1次試験:2019年3月3日(日)
2次試験:2019年3月13日(水)

2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式

(試験科目・試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学A・数学B(数列、ベクトル)
・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』から2科目選択。
・小論文
・面接

(試験時間)
1次試験
9:30-10:30 数学(60分)
11:00-12:00 英語(60分)
13:00-15:00 理科(120分)(『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』から2科目選択)

2次試験
10:00-10:40 小論文(40分)
面接(10分程度)

(解答形式)
英語:マークシート方式
数学:記述・論述式(大問1, 2が答えのみ、大問3が途中過程を含めて論述)
物理:記述式(描画問題あり)
化学:記述式
生物:記述・論述式

2.3 配点

1次試験
・数学(100点)
・英語(100点)
・理科(200点)

2次試験
・小論文(段階評価)
・面接

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

前期日程の試験時間は理科2科目で120分(推薦入試では理科1科目で60分)、解答形式は記述式である。一般入試・推薦入試ともに大問4題構成で、各大問に小問が10題程度ある。前期日程と推薦入試とで、出題傾向に大きな違いはない。

リード文と設問文とで共通した空欄が使用されることもあり、空欄補充で失敗すると大問をほぼ丸ごと落とすこともある。また、おおむね大問ごとに論述問題がある。論述の分量は、字数制限のないものや、制限のあるものでは30字のものから150字のものまで様々である。

細胞と分子、体内環境の恒常性、動物の発生、動物の反応と行動の単元が頻出である。空欄補充で失点すると後の問題の解答に差し支えるため、教科書はコラムや実験、脚注にいたるまで、すみずみまで読んで把握しておこう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子

近畿大学医学部の生物入試では頻出の単元の1つである。生体物質や細胞小器官、情報伝達についての知識問題のほか、細胞周期の計算問題についても要注意である。教科書で基礎をしっかり勉強して、『生物の良問問題集』などの問題集が楽に解けるようになっておこう。

3.2 代謝

呼吸や発酵、光合成などについて、代謝経路の各段階における反応物と生成物を、化学反応式ごとしっかりと整理しておこう。教科書や参考書に記載の反応経路を細かく追って、そこで何が起こっているかをノートにまとめてみるとよい。酸素や二酸化炭素を必要とする段階はそれぞれどこであるかといったことも確認しておこう。

3.3 遺伝情報の発現

大問として問われる場合は、バイオテクノロジーが題材となっていることが多い。他方、「ホルモンによる遺伝子発現の調節」といった形で、他分野の大問で小問として問われることも多い。いずれにせよ、小問単位では毎年出題の見られる単元であるため、重点的に学習しておこう。

3.4 生殖と発生

重複受精やABCモデルなど、植物の発生についてもよく出題されている。動物の発生は、ウニ、カエル、ショウジョウバエの3つについて、受精から形態形成までの流れをおさえておく。『生物 基礎問題精講』にあるような典型的な実験については、問題演習の後の復習として、実験系と、得られた結果と、考察について確認しておくとよい。

単元を通して、要求される知識はかなり深い。発生の単元では、ほんの一握りの受験者を除いて初耳であろうイーブンスキップト遺伝子について、「7本の縞状に発現する」という情報からペア・ルール遺伝子クラスであると判断させる問題が出題された。「教科書に載っている内容はすべて覚えている」という前提で作問されている様子がうかがえる。

3.5 遺伝

現行課程になり、一般的に遺伝の出題は減少傾向にある。近畿大学医学部の生物でも、遺伝の出題頻度は少ない。出題があったとしてもリード文に必要十分な解説があることが多いため、問題文をよく読んで得点にしよう。

遺伝の問題では、まずは問題文に記された遺伝子のはたらきを整理することが大切である。そして、どのような問題であろうと配偶子の組み合わせを表の形で整理して解答するという一連の流れがある。『生物の良問問題集』などで一通り練習しておくようにしよう。

3.6 体内環境の恒常性

近畿大学医学部の生物の入試問題では、最も頻出である単元の1つ。自律神経とホルモンによる調節と免疫とが、同じ年度に両方とも出題されることもある。また、酸素解離曲線の計算問題も頻出である。主として生物基礎の単元ではあるが、生物で学習する輸送体タンパク質やシグナル伝達などの分野と併せて、しくみからしっかりと理解しておこう。

この単元の出題の難易度は高い。セクレチンの働きが出題されたこともあり、教科書は脚注などもスルーせずに読んでおきたい。『生物 重要問題集』や『生物[生物基礎・生物]標準問題精講』などの問題集を使って練習しよう。

また、感染が生じた場合にだけ好中球が血管内壁に接着するしくみとして、“考えられるものを述べよ“といった、仮説を立てさせる類いの設問も見られた。近畿大学医学部の生物ではこの設問の難易度が高く、例年、合否の分かれ目になっているであろう。これについては、後述の4.試験対策のStep3で取り上げる。

3.7 動物の反応と行動

体内環境の恒常性と並んで、近畿大学医学部の生物の入試問題で頻出の単元である。各種受容器や神経細胞の構造、筋収縮のしくみについては、ノートにまとめてしっかりと覚えておこう。アウトプットとしては、『生物 重要問題集』などのハイレベルな問題集で演習しておきたい。

また、動物の行動についても注意が必要である。設問をコウモリのエコロケーションに絞った大問が出題されたこともあり、ピンポイントで深い知識が要求された。解けた者は合格圏にかなり近づいたであろう。教科書や資料集、問題集で題材とされた動物の行動について、現象と生物名を一緒に整理しておくとよい。

3.8 植物の環境応答

出題頻度は低い。教科書に記載のある基本的な事項を理解し、『生物の良問問題集』などの問題を楽に解けるようにはなっておきたい。ただし、各種植物ホルモンが植物体内で情報伝達を担うしくみについては細かい知識まで確認しておこう。近畿大学医学部の生物では、細胞内の情報伝達については頻出であるためである。

3.9 生命の起源と進化、生物の系統

植物の環境応答と並び、出題頻度は低い。教科書に記載のある基本的な事項を理解し、『生物の良問問題集』などの問題を解けるようにはなっておこう。真核生物の進化については、細胞と分子で学んだ共生説と合わせて、しっかりと理解しておきたい。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認

近畿大学医学部の生物の対策においては、用語とその定義の習得が先決である。問われる知識は広く深く、量は膨大である。また、各大問は、細胞と分子、遺伝情報の発現といった分野との融合問題であることも多い。各分野で学習した生命現象のしくみを、これらの単元のレベルから理解しておくことが肝要である。

対策を始めるにあたっては、まずは教科書や、次のいずれかの参考書を併用して、知識を広く深く習得することに努めてほしい。

参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎』(数研出版)
・『大森徹の最強講義』(文英堂)
・『大学入試の得点源【要点】』(文英堂)
・『生物 知識の焦点』(Z会出版)
・『理解しやすい生物、生物基礎』(文英堂)
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
・『生物基礎が面白いほどわかる本』(中経出版)

教科書と参考書を単元ごとに精読したら、次のような問題集を使って網羅的な学習に取り組もう。用語が定着しているか、基本的な問題が解けるかといったことを確認する。理解の不十分であったところ、覚えきれていなかったことをあぶり出し、教科書や参考書に戻ってインプットし直そう。

問題集
・『生物の良問問題集』(河合出版)
・『エクセル生物』(実教出版)
・『生物 基礎問題精講』(旺文社)
・『リードLightノート生物基礎、生物』(数研出版)

※細胞と分子、体内環境の恒常性、動物の反応と行動については、次のようなハイレベルの問題集で仕上げをしておこう。その他の単元も、余力があれば取り組んでおきたい。

・『生物[生物基礎・生物]標準問題精講』(旺文社)
・『生物 重要問題集』(数研出版)

■Step.2 実験考察問題・計算問題への取り組み

近畿大学医学部の生物の場合、初見の実験を扱った実験考察問題の出題は少ない。計算問題も、どの問題集にも掲載のあるような典型的な問題である。Step2の対策としては、Step1で網羅的な学習に使用した問題集を周回することが肝要である。使用する問題集を再掲しておこう。

・『生物の良問問題集』(河合出版)
・『エクセル生物』(実教出版)
・『生物 基礎問題精講』(旺文社)
・『リードLightノート生物基礎、生物』(数研出版)

※細胞と分子、体内環境の恒常性、動物の反応と行動については、以下も触れておきたい:
・『生物[生物基礎・生物]標準問題精講』(旺文社)
・『生物 重要問題集』(数研出版)

■Step.3 記述・論述問題への取り組み

よくある実験考察問題は、「こんな実験をして、こんな結果が出ました。どんな考察ができますか?」が問われるものである。センター試験などでもよく問われる形式だ。一方、近畿大学医学部の生物では、このような実験考察問題のほかに次のような問題が出題される。「こんな現象が起こっていました。何故だと思いますか?」、あるいは「こんな実験をしたら、どうなると思いますか?」というものだ。

こういった問題では、問題文が、“どのようなしくみが考えられるか述べよ“、”どうなると考えられるか述べよ“という書き方になることが多い。大学への入学以降、実験や実習に科学的な姿勢で取り組めるかどうかを試しているとも言えよう。この手の問題への対策としては、次の2つが考えられる:

第一に、Step1を徹底し、正確な知識・理論を身に付けること。論理的な仮説・予測には、必ず、正確な知識・理論が先立っている。ここでは、Step1、2の対策にもなるよう、『生物の良問問題集』などの問題がすべて、迷わずに回答できることを目標にしよう。

第二に、問題演習をたくさんこなすこと。普段の学習の中でなぜこういった機構があるのか、なぜこのような仕組みになっているのかを考えることが最善の道ではある。しかし、全員がこれを実行できるわけではないというのが現実的なところ。実際に問題を解くことで、そのことについて考えるきっかけをもらおう。たくさん考える機会を得ることで、考え方が熟成され、質が向上していく。

『生物[生物基礎・生物]標準問題精講』(旺文社)や『生物 重要問題集』(数研出版)などの問題集がこうした演習には適しているだろう。なお、演習の際は、次のことに注意したい:
① 答え合わせの前に自分の答案をもう一度読み直すこと
② なぜ模範解答のような答案になるか理由を言えるようになること
この2つを徹底すること。つまるところ、いかに「仮説(原因)や予測(結果)を立てさせる問題」といえど、その具体的な対策は、「知識」と「考える力」を身に付けるということである。「知識」は、網羅的な問題集を周回することで身につく。「考える力」は、論述問題の自分の答案が正しいか考えたり、模範解答がなぜ正しいか考えるといった、考える場数を踏むことで身につく。網羅的な問題集と、ハイレベルな問題集とで、量をこなして質を高めた上で、入試に臨むようにしたい。

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習

Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、Step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。
また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。

(参考)
行くぞ!近大 近畿大学入試情報サイト|入試情報・学費|入試かんたん検索|医学部|一般入試・前期
行くぞ!近大 近畿大学入試情報サイト|入試情報・学費|入試かんたん検索|医学部|一般入試・後期