目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

自治医科大学は、都道府県ごとに選抜された学生さんが集い、地域医療を担う総合臨床医を育成する大学であるため、へき地や地域における医療を充実させる目的で設立された栃木県の私立大学である。私立大学という区分ではあるが、その名の通り自治省(現在の総務省)によって設立された大学となっている。また、自治医科大学は医師国家試験の合格率が非常に高いことでも有名である。特徴的なのは全寮制で、入学金や修学資金の一部が貸与され、ある条件を満たすと後の還元が免除されるという点である。

教育理念には、以下の3点が記載されている。

  1. 医の倫理に徹し、医師としてのプロフェッショナリズムと豊かな人間性をもった人格の形成に力を注ぐ。
  2. 高度な医学知識と総合的な臨床能力を備え、常に進歩しつづける医学の様々な分野に対応できるように生涯にわたり精励する医師を育てる。
  3. 医療にめぐまれない地域で進んで医療に挺身し、地域のリーダーとして必要な教養と資質を備え、社会に貢献する気概を持った医師を育てる。

(引用元:自治医科大学|医学部|医学部の紹介|ミッション(使命)

合格最低点などは非公表になっているため、試験情報に関しては不透明なこともある。というのは、自治医科大学は入学定員を各都道府県に振り分けて合格者を決定するため、成績上位者が必ずしも合格するとは限らないからである。進学校が多く存在する都道府県では合格が難しくなっている。6年間の学費は2200万円程度で、私立医学部の中ではかなり安い部類に入ることも魅力の一つとなっている。

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2. 概要

2.1 試験日

一般入試
■1次試験
○学力試験:2019年1月28日(月)
※学力試験及第者の発表は、1月29日 9:00までに行う。
○面接試験:2019年1月29日(火)
※面接試験は学力試験及第者にのみ実施

2次試験:2019年2月7日(木)

2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式

(試験科目・試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列・ベクトル)
・理科:『物理基礎・物理』『化学基礎・化学』『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。

(試験時間)
■1次試験
○学力試験
9:00〜10:20 数学(80分)
10:50〜12:10 理科(80分)※2科目選択
13:10〜14:10 英語(60分)

○面接試験
10:10〜16:00 面接

2次試験
・小論文(90分)
・集団面接(約40分)
・個人面接(約10~15分)

(解答形式)
・英語:マークシート方式
・数学:マークシート方式
・物理:マークシート方式
・化学:マークシート方式
・生物:マークシート方式

2.3 配点

■1次試験
○学力試験
・英語(25点)
・数学(25点)
・理科(50点)※1科目25点

○面接試験
・面接

■2次試験
・小論文
・面接

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

自治医科大学の理科の特徴は、40分という短い時間で25問を完答するという厳しい時間制約にある。生物の問題の難易度は高くなく、周りの受験者においても高得点が予想される。生物の過去問では90%程度の得点率を安定して出せるようになっておきたい。設問自体の難易度は確かに平易であり、『生物の良問問題集』に掲載のあるレベルの設問である。しかし、忘れてはならないのは、解答のスピードを要求されていることである。

「時間がかかるが解ける」は「手も足も出ていない」と同義であると心得てほしい。考察問題も出題されている以上、知識を問う設問については悩んでいる暇などない。教科書内容の徹底した反復演習をしてきたかということと、短い時間で正確にリード文を読み取る能力を鍛えてきたかということが試されている。

問題25題の内訳は、3分の2が正誤問題、残りの3分の1を計算問題や考察問題が占める。正誤問題は紛らわしい選択肢が多く、中途半端な勉強をしていては消去法でも最後まで絞りきれない。体内環境の維持、植物ホルモン、生物の系統と分類など、紛らわしい選択肢を作りやすい単元では特に注意しよう。

計算問題は『生物の良問問題集』に掲載の問題をピックアップして反復演習し、問題を見た瞬間に立式できるようにしよう。考察問題は、リード文が1ページ程度の問題が出題される。

1つの設問が他の設問とは独立した考察問題になっている。知識問題は1題1分もかけずにさくっと片付けたい。その後、合格を勝ち取りにいくつもりで計算問題・考察問題に取り組もう。

出題範囲は教科書の内容全体であり、25の設問で生物基礎・生物の全範囲をまんべんなく問われる。教科書全ページを丁寧に読み込み、すべてを頭に叩き込むようにしよう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子

とにかく教科書の隅々まで、コラムや発展、脚注も読み込むようにしよう。このとき、例えば生物基礎の教科書は、細胞の構造の項目から読み進めるのではない。その前の生物の共通性と多様性の項目や、顕微鏡の項目から読もう。ゾウリムシとヒトの卵のどちらが大きいか、今まさに即答できなければ、今この瞬間に教科書を開いてインプットし直そう。

3.2 代謝

呼吸、発酵、光合成、窒素同化、窒素固定など幅広く問われるほか、教科書に掲載されている実験の手順についても出題があった。各代謝経路における化学反応式の知識も必須であるから、反応物と生成物の名称と化学式は必ず覚えておくようにしたい。代謝の単元で「薄層クロマトグラフィー」と言われて実験系が思いつかなければ勉強不足である。

3.3 遺伝情報の発現

核内のDNAをスタート地点、ポリペプチドの合成をゴール地点として、その間をすべて説明できるようでなければならない。無論、真核生物の場合、原核生物の場合という2つのルートに分けて説明できるようになっておこう。

また、分化した細胞の遺伝情報に関する研究についての知識も同様である。ガードンの実験から言えることは何かということまで、しっかり確認しておくこと。

3.4 生殖・発生

自治医科大学の生物の入試問題の対策においては、徹頭徹尾、教科書を隅々まで読んでおくことが最重要である。生殖と発生については、他の単元よりもやや重点的に知識の習得に努めてほしい。

ウニやカエルの発生を言葉で説明できることは当たり前。教科書本文に掲載されている中胚葉誘導などの実験については、実験内容とその結果まで覚えておくようにしよう。「ホメオティック遺伝子は、遺伝子の発現調節の項目で学習した調節遺伝子である」万が一このことが初耳であれば、教科書の読み込みが足りない。

3.5 遺伝

三遺伝子雑種、独立と連鎖、乗換えと二重乗換え、遺伝病…このいずれかに自信がないようであれば、すぐに『生物の良問問題集』などで重点的に練習しておきたい。ややクセのある問題も出題されている。この1問2問が勝敗を分けるかもしれない。

3.6 体内環境の維持

どの内分泌器官から、どのホルモンが放出され、どのような作用があるか―といった内容をすべて覚えよう。内分泌器官に接続する自律神経についても整理しておきたい。それらを覚えた上で、水分量と塩分濃度の調節、血糖濃度の調節、体温の調節については、最低限の知識として説明できるようになっておこう。

また、免疫反応の一連の流れを説明できることも同様に必須である。異物が体内に侵入してから排除されるまで、どの細胞が、どこで、どの細胞に対して、どのようにはたらきかけるか、1つずつ答えられるようにしておくこと。

3.7 動物の反応と行動

医学部入試で特に問われることの多いこの単元であるが、自治医科大学の生物でも刺激の受容と応答に関する設問は頻出である。大脳や脊髄の構造はもちろん、脳における諸機能の中枢の分布、受容器から効果器までをつなぐ神経経路など、細かい知識が要求される。

また、動物の行動についても出題があるので、しっかり整理しておこう。生得的行動と学習の違いから確認しておくこと。教科書に列挙されている様々な行動について、定義を理解するだけでなく、区別をつけられるようにしよう。

3.8 植物の環境応答

自治医科大学の生物では毎年出題のある単元である。植物ホルモンの出題は定番のように出題されている。花粉管の誘引実験なども出題されているので、教科書のコラムや実験の項目などもしっかり読み込んでおこう。

植物ホルモンの名前とはたらきをノートに箇条書きして丸暗記するのは辛い。植物の一生とはどういうものか、植物の環境変化にはどのようなものがあるかといったところから、堅実に理解するようにしよう。

3.9 生物の多様性と生態系

個体群、生物群集についての知識を問う問題は定番である。また、物質生産、エネルギー効率についての計算問題の出題が目立つ。個体群、生物群集については、現象と生物名をともに問われることが多い(片利共生:カクレウオとナマコ、など)ので、一緒に覚えよう。

3.10 生命の起源と進化、生物の系統

地質時代、人類の進化、進化のしくみ、分子系統樹、現生の生物の分類など、まんべんなく出題されている。ハーディ・ワインベルグの法則を用いる、集団遺伝の計算問題が頻出であるのも特徴的だ。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認

自治医科大学の場合、県内枠からの競争率を考えると、多くの受験者が正解するような問題は1問の取りこぼしも許されない。繰り返すが、「時間がかかるが解ける」は「手も足も出ていない」と同義であると心得てほしい。時間をかけずに解くためには、教科書・参考書の精読と、問題演習の量がものを言う。まずは次のいずれかの参考書を単元ごとに精読しよう。

参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎』(数研出版)
・『大森徹の最強講義』(文英堂)
・『大学入試の得点源(要点)』(文英堂)
・『生物 知識の焦点』(Z会出版)
・『理解しやすい生物、生物基礎』(文英堂)
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
・『生物基礎が面白いほどわかる本』(中経出版)

単元ごとのインプットが済んだら、次はそれをアウトプットしよう。単元ごとに、参考書と『リードLightノート生物基礎、生物』などの問題集を交互に行き来するとよい。

問題集
・『リードLightノート生物基礎、生物』(数研出版)
・『らくらくマスター 生物・生物基礎』(河合出版)
・『生物用語の完全制覇』(河合出版)

■Step.2 実験、考察問題への取り組み

自治医科大学の生物入試では、考察問題も数題程度出題される。設問の分量は、リード文も含めて多くて1ページ程度である。『生物の良問問題集』が楽に解けるようであれば怖くはない。

出題される実験問題は、どの問題集にも掲載のあるような典型的な実験が題材となっていることが多い。① 問題で扱われた実験の手順、② その実験からどのような結果が得られ、③ どのような考察がなされたかを、解説から読み取って確認しておこう。

『生物の良問問題集』のすべての設問に余裕を感じたようであれば、『生物 基礎問題精講』で最後の仕上げに取り組もう。その場合も、「時間がかかるが解ける」は「手も足も出ていない」と同義であるということを思い出すこと。万が一覚えていない内容があることに気づいたら、教科書・参考書にすぐに戻ること。

問題集
・『エクセル生物』(実教出版)
・『生物の良問問題集』(旺文社)
・『生物 基礎問題精講』(旺文社)

■Step.3 計算問題への取り組み

計算問題への対策も、Step2で使用した問題集を使ってしっかりと練習しておこう。計算問題だけをピックアップして、追加でもう1周するなどするとよい。試験時間に余裕はないため、どのように計算すればよいか迷ってから解けるようではいけない。1問解いた後は、どうやって計算をしたかを必ず再確認しておくようにしよう。

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習

Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。Step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。

また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。

自治医科大学の問題形式はあまり類似したものがないため、日ごろからアウトプット用になる教材が少ないのが現状である。したがって、傾向を掴み、問題に慣れるためにも過去問をしっかりと解いておくことが望ましい。

(参考)
自治医科大学|医学部|医学部の紹介|ミッション(使命)
自治医科大学|入試案内|医学部入試案内|学生募集要項