目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習
「分からないところが分からない」状態からの大逆転! 筑波大医学部合格をつかんだパーソナルトレーナーとの1年間
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1. はじめに

岩手医科大学は、岩手県盛岡市にあり、医・歯・薬3学部をもつ医療系総合大学である。現学長の祖父江憲治氏は以下のように述べている:

医学部、歯学部、薬学部とそれぞれの大学院が同一キャンパスにあるのは本学のみです。学部の垣根のない教育・研究・診療の環境の下、患者中心の医療、チーム医療の根幹を学んでおります。さらに、米国ハーバード大学との間で教育及び診療に関し連携関係を構築し、現在、歯学部の学生・教員を中心に留学が実現するなど、世界から注目され、世界に発信してゆく大学を目指しています。

(引用元:岩手医科大学|理念|学長ご挨拶

生物の試験は標準的な良問が多く出題されているものの、制限時間に対して問題量がかなり多く、瞬発力と正確性が試される出題となっている。相当トレーニングを行い、基礎用語の正確な定着を心がけたい。

2. 概要

2.1 試験日
一般入試
1次試験:2019(平成31)年1月23日(水)
2次試験:2019(平成31)年2月1日(金)・2日(土)※いずれか1日を選択

2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
(試験科目・試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列とベクトル)
・理科:『物理基礎・物理』『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。

(試験時間)
1次試験
9:00〜10:00 英語(60分)
10:45〜11:45 数学(60分)
13:00〜15:00 理科(120分)※2科目選択
15:45〜16:35 小論文(50分)

2次試験
9:00〜 面接(一人あたり15分程度)(一次試験合格発表時(HP)に面接時間を指定する)

(解答形式)
・英語:マークシート方式
・数学:マークシート方式
・物理:マークシート方式
・化学:マークシート方式
・生物:マークシート方式

2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)
・小論文(一次合格者のみ判定)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
2017年度より、出題形式が記述式からマーク式に変更され、問題数も大問3題構成から大問5題構成(小問30題程度)へと大幅増となった。知識問題を中心に、計算問題、実験考察問題が含まれている。2019年度の試験時間は2科目で120分であり、恐らく引き続き時間的余裕はない出題内容になると考えられる。知識問題を素早くこなし、いかに実験考察問題に時間を割けるかどうかが、高得点へのカギとなるだろう。

知識問題や計算問題、実験考察問題のレベルは標準的なものである。特に実験考察問題は良問で、リード文を一字一句正確に読み取って正解を選びたい。特に出題の多い単元は、恒常性、遺伝情報とその発現、動物の初期発生、刺激の受容と応答である。植物や生態系に関する出題は圧倒的に少ないものの、2018年度には生物の分類・系統のごく基本的な知識を問う問題が出題されており、生物基礎・生物の、全分野の網羅的な学習は必須である。

2018年と2017年では、小問30題程度のうち7割程度は知識問題であった。ほとんどが教科書レベルの内容であり、他の受験者も確実に点を取ることが予想されるため、基本用語の定着なしに合格水準に達することはない。日頃から教科書をよく読み、図やグラフをノートに描いてみるなどして、知識の習得に励んでもらいたい。一方、2018年には、オートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏の名前が問われており、時事問題への関心も合格を後押ししてくれるかもしれない。生物学・医学への幅広い知識・関心が求められているようだ。

計算問題はあまり出題されず、小問にして数題程度である。ある小問で計算した結果を使って次の小問を解くといった形の出題も見られないため、計算問題があまり得意ではないという受験者にとっては取り組みやすい問題構成であると言える。血しょうから尿への濃縮率・再吸収率や、興奮の伝導の速さを求めるといった典型的な計算問題が出題されており、難易度も決して高くない。問題集で一通りの基本的な計算問題について練習を積むことで、リード文や図表中の数字を素早く選び、適切な公式に当てはめられるようになっておきたい。

実験を題材にした出題は多い。リード文の実験の結果と矛盾しない考察や、グラフから読み取れることを選択肢から選ぶといった小問は、小問全体の2割程度の割合で見受けられる。知識問題や計算問題の難易度が標準的なものである以上、実験考察問題のできは点数の差につながるため、過去問などでしっかりと練習しておきたい。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子
過去の出題としては、細胞接着や細胞骨格の問題が出題されることが多かった。2018年には免疫グロブリンの構造についても問われており、教科書レベルの基本的な知識の習得は必須である。恒常性に絡めた出題の頻度は非常に高いため、どの細胞や分子が、体のどこでどのようなはたらきをしているか、しっかりと覚えておきたい。

3.2 代謝
2、3年の間隔で定期的に出題がある。酵素の性質や反応速度をテーマとした出題や、代謝経路に関する出題が多い。いずれも難易度的には標準~易であり、取りこぼすと痛手である。教材にも掲載のある典型的な実験を扱った問題が多いので、抜かりのない問題演習をしていれば完答できるだろう。

3.3 遺伝情報の発現
岩手医科大学では最頻出の単元である。ほぼ毎年1題は出題されているため、知識の抜けなどを決して許さない学習が必要となる。出題範囲も幅広く、DNAの複製やセントラルドグマ、遺伝子の転写調節、乗換えと組換え、遺伝病、PCR法と電気泳動法といった内容について、深い知識を要求する小問が目立つ。2017年には、教科書レベルのオペロン説の内容に「転写活性化因子」の存在を加えた考察問題も出題され、動揺した受験者もいたのではないかと予想される。充分な知識の習得と問題演習をして臨みたい。

3.4 生殖と発生
遺伝情報の発現と並んで出題頻度の高い単元である。形成体の移植実験など、実験考察問題として出題される場合は典型的な題材が目立つため、単元としての難易度は標準的なものである。一方で、2018年にはウニの初期発生の卵割形式が、2017年にはフォークトやシュペーマンといった研究者の名前が問われており、現行課程では教科書中の扱いの軽くなった科学史の内容についても油断はできない。教科書の発展やコラムといった場所にも目を通しつつ、ウニ、カエル、ショウジョウバエといった生物の発生について、初期発生から形態形成にかけての流れをしっかりと確認しておきたい。

3.5 遺伝
一般的に、現行課程では旧課程に比べて遺伝の計算問題の扱いが縮小されたので、今後も出題頻度は高くならないと思われる。とはいえ、2018年には組換え価から染色体地図を考えたり、簡単な一遺伝子雑種の計算と電気泳動法とを組み合わせて考えさせる問題も出題されている。基本となる一遺伝子雑種や二遺伝子雑種の計算は必ずできるようにしておく必要がある。

3.6 動物の反応と行動
受容器と効果器、神経系の細かい知識は必須である。例えば、どの細胞が適刺激を受け取って、どのように神経細胞が興奮して感覚を生じさせるかといった一連の流れは、受容器ごとにしっかりと整理しておきたい。また、中枢神経の構造や各部の機能、大脳における言語や視覚などの中枢の位置といった知識も漏れなく習得しておこう。

3.7 植物の環境応答
過去の出題頻度は圧倒的に少ないが、教科書レベルの知識は漏れのないよう定着させておく必要がある。自分で動けない植物が環境の変化にどのように応答しているかという観点を軸に、どの植物ホルモンがどのようなはたらきをしているかを、種子の発芽から開花までの一連の流れの中で覚えておくようにしよう。

3.8 生物の多様性と生態系
植物の環境応答同様、あまり出題のない単元であるが、受験日程のギリギリになって対策することにはならないようにしよう。資料集などで細かい知識を補強しておくとよい。年度によっては、生態ピラミッドが出題されたことがある。

3.9 生命の起源と進化、生物の系統
生物の系統の中では、圧倒的に動物界からの出題が多いため、時間に余裕のない人は短期集中でこの単元を攻略してほしい。時間に余裕がある人は3ドメインからすべて攻略して、万全な体制を整えよう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認
難しい単語を詰め込むよりも、徹底した教科書学習が何よりも大切である。インプット用の参考書としては以下に挙げるものを使用してほしい:

参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎』(数研出版)
・『大森徹の最強講義』(文英堂)
・『大学入試の得点源(要点)』(文英堂)
・『生物 知識の焦点』(Z会出版)
・『理解しやすい生物、生物基礎』(文英堂)
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
・『生物基礎が面白いほどわかる本』(中経出版)

初学者は、いきなり問題を解き始めるよりも参考書や教科書を使って生物現象や用語の定着に努めるほうが効率的である。用語が定着した後は、問題集でアウトプットしていこう。リードやセミナーを使う際の注意点としては、いきなり発展問題などはやらずに、セミナーのプロセスやリードにあるリードBなど基礎問題の反復練習に努めるほうが効率がよい。

問題集
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『らくらくマスター 生物・生物基礎』(河合出版)
・『生物用語の完全制覇』(河合出版)
・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『リード light 生物 生物基礎』

■Step.2 実験、考察問題への取り組み
ここからは、標準問題を軸に実際の考察問題を解いていくことになる。岩手医科大学の入試問題では、難しい考察問題が登場することはない。したがって、対策としては難しい考察問題を闇雲に解くのではなく、標準的な問題を数多くこなし、実験概要と結果をしっかり記憶しておくことである。時間の短縮につながるだけでなく、予測しながら解答をしていくことができるようになるため、精神的にも安定する。ニワトリの真皮の誘導や、中胚葉誘導の実験結果など、普段から考察問題をこなしていく上で、ノートなどに実験結果をストックしていくとよいだろう。1周目の取り組み方としては、しっかりリード文を読んで自分で考えて答えを導き出しで見ることである。この時点で完璧な答案を作る必要は全くなく、わからなかった問題は解答解説を理解することを心がけよう。

また、重要問題集や標準問題集は考察問題がメインであるため、オーバーワークになってしまう可能性もある。それよりは、教科書傍用の問題集を一冊こなしたほうが良い結果につながるだろう。

・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『生物の良問問題集』(旺文社)
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『生物重要問題集』(数研出版)
・『生物標準問題精講』(旺文社)

■Step.3 計算問題への取り組み
『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法』(旺文社)
『大森徹の生物 遺伝問題の解法』(旺文社)

岩手医科大学は基本的に、計算問題があまり出題されておらず、難易度も標準的なので特に個別に対策が必要というわけでもない。上記二つの参考書を提案しているが、セミナーやリードにある典型的な計算問題を網羅できれば、本番や過去問演習で困ることはまずないであろう。

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習
Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、Step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。
また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。
過去問を解いてみて8割以下であれば、基礎が抜けている可能性が高い。生物の用語は膨大であるため、忘れてしまった知識を復讐するため、step1に戻り知識の定着につとめよう。

(参考)
岩手医科大学受験生サイト|入試情報|医学部|入学試験要項PDF版