目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

国際医療福祉大学は私立大学であり、医学部は2017年4月に新設された。生物の出題形式はマーク式。まだ過去問が蓄積されていないので、傾向を論じるのは難しいが、時間の割に問題数は多めである。したがって、とにかく素早く解くことや、どの問題から取り組むかの判断が重要になってくるだろう。この記事では国際医療福祉大学の生物の入試問題から、傾向や特徴、勉強法、対策、おすすめの参考書について解説していく。

受験にこそパーソナルトレーナーを。4年間、一次試験すら通過できなかった僕が『医学部合格』を勝ち取れた理由
人気記事

2. 概要

2.1 試験日

1次試験:2019(平成31)年1月22日(火)
2次試験:2019(平成31)年1月29日(火)〜2月3日(日)のうち本学が指定する日

2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式

(試験科目・試験範囲)
・英語:『コミュニケーション英語Ⅰ』、『コミュニケーション英語Ⅱ』、『コミュニケーション英語Ⅲ』、『英語表現Ⅰ』、『英語表現Ⅱ』
・数学:『数学Ⅰ』、『数学Ⅱ』、『数学Ⅲ』、『数学A』、『数学B(数列、ベクトル)』
・理科:『物理基礎・物理』『化学基礎・化学』『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
・小論文:小論文の評価結果は一次選考では使用せず、二次選考の合否判定に使用する。

(試験時間)
1次試験
9:45〜11:45 理科(120分)※2科目選択
12:50〜14:10 数学(80分)
15:00〜16:20 英語(80分)
17:10〜18:10 小論文(60分)

2次試験
・面接(個人。約30分×2回)
※希望する者には一部英語で面接を行う。希望する場合はインターネット出願サイトにおいて所定の欄に入力しておく。

(解答形式)
・英語:マークシート方式
・数学:マークシート方式
・物理:マークシート方式
・化学:マークシート方式
・生物:マークシート方式

2.3 配点

1次試験
・理科:200点(2科目×100点)
・数学:150点
・英語:200点
・小論文:段階評価

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

2017年、2018年とも大問4題(小問約40題)構成であるが、2018年は2017年に比べて難化し、実験考察問題や、呼吸と発酵の化学反応式を暗記していることを前提とした計算問題も出題された。出題分野は幅広く、2017年には植生、2018年には地質時代および生物の分類が大問単位で、かつ他の大問と同程度の難易度で出題されているため、どの単元もまんべんなく対策しなければならない。

知識問題は、典型的な正誤問題の他、複数の空欄にあてはまる語句の組み合わせや、複数の文章の正誤の組み合わせを選ぶといった、センター試験と似た形での出題が多い。しかし、教科書に載っていない用語が正解として選択肢の中に登場したり、教科書ではコラム扱いの内容(RNA干渉など)が知識問題として問われていることもある。教科書中の太字語句について、すべて簡潔に説明できるくらいの網羅的な学習をして、試験で初めて見るような用語にも消去法で対応できるようにしておきたい。例えば、2017年にはDNA二本鎖のほぐれる起点となる領域(レプリケーター)が問われたが、レプリケーターはすべての検定教科書には掲載のない語句である。しかし、不正解の選択肢はエキソンとプロモーターであり、エキソンとプロモーターはどの教科書にも掲載のある基礎的な語句であるから、それらの定義が分かっていればレプリケーターを選ぶことができる。

計算問題は、化学では一般的な物質量計算の他、生態系分野の物質生産に関する問題が出題されている。物質量計算については、化学で苦手意識をもっていなければ安心して取り組めるが、時間的な余裕はないので化学反応式等の暗記は必須である。物質生産など、生物特有の計算問題については、リード文に従って表から適切な数値を選んで計算ができるよう、最終的には『生物重要問題集(数研出版)』に掲載のあるような練習問題等で訓練しておくとよいだろう。

2018年度で出題された実験考察問題の難易度は、小問単位で見れば『生物 基礎問題精講(旺文社)』に掲載のある程度のものである。センター試験と同様、マーク式であることから、リード文すべてを一字一句丁寧に読んで解答していると試験時間を圧迫する。ざっと斜め読みし、空欄や下線部が登場するごとに該当する設問を読むようにする。実験考察問題に取り掛かる際には、下線部を読めば、教科書のどのページの話をしているかを即座に思いつけるようでなければならない。

国際医療福祉大学のここ2年の様子では、化学の問題数が非常に多いため、2科目120分の時間配分には注意が必要である。生物化学で受験する場合は、生物40分、化学80分を目安にして、過去問演習に取り組むようにしてほしい。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子

細胞説などの科学史的な内容から、顕微鏡の使い方、生体物質(水や有機物)、輸送体タンパク質、細胞骨格といった内容が出題された。コラムや発展も含めた、教科書内容の網羅的な学習ができていれば問題ない。過去問に取り組んでこの単元で間違うようであれば、躊躇せずもう一度教科書に戻り、ノートに図やグラフを描き写して覚えよう。

3.2 代謝

2018年に、酵母菌にグルコースを与え、消費した酸素と発生した二酸化炭素の量を計測し、エタノールの生成量や、グルコースからATPへのエネルギー変換効率を求める計算問題が出題された。グルコース1分子あたり、呼吸ではATPが最大38分子、アルコール発酵では2分子産生されることを覚えていなければ太刀打ちできず、かつ呼吸とアルコール発酵の化学反応式をすぐさま書いて計算に着手するスピード感が必要であった。呼吸、発酵、光合成における化学反応式については、係数も含め覚えておかなければ試験時間を圧迫するだろう。

3.3 遺伝情報の発現

一遺伝子一酵素説、遺伝子の転写調節、PCR法、RNA干渉といった内容が取り上げられた。一遺伝子一酵素説については、ビードルとテータムの名前も出題されており、やはり科学史的な内容は必ずおさえておく。一遺伝子一酵素説、遺伝子の転写調節については実験考察問題として出題されており、オペロン説などどの問題集でも掲載のある典型的な問題については、類題にたくさんトライして、解き慣れた状態で臨もう。

3.4 生殖と発生

2017年に体温調節の問題が出題された。自律神経はどのようにはたらくか、ホルモンはどのようにはたらくかといった個々の経路の細かい知識が要求された。どのような変化が体内環境に起これば、それを元に戻すために、どのような一連のしくみがはたらくかという観点で、教科書や資料集に掲載されている例を一つ一つ整理しておこう。自律神経はどの臓器にはたらきかけるか、各種ホルモンはどこから分泌されてどのようにはたらくか、表の内容をすべて頭に叩き込んでおくように。

3.5 動物の反応と行動

2018年には、慣れと脱慣れについて、神経細胞の構造や興奮の伝導・伝達のしくみと絡めて深く掘り下げる問題が出題された。動物の行動にはどのようなものがあるかということを羅列するだけでなく、それらがどのような生理的しくみによって起こるのかということまで、教科書や資料集の内容をノートにまとめておくようにしよう。

3.6 生物の多様性と生態系

2017年に植生(生物基礎)と、森林の物質生産(生物)が融合した問題が出題された。一般に融合問題の根本的な対策は、融合された個々の単元の学習に帰着される。そのため、特に国際医療福祉大学のように、出題形式がマーク式で、融合された単元が明らかである場合は、安心して単元別の学習に注力して構わない。植生および、生態系の物質生産の問題としては、どの問題集でも掲載のある典型的な問題が出題されており、各バイオームの代表樹種などは必ず覚えておく必要がある。

3.7 生命の起源と進化、生物の系統

2018年に地質時代の問題が出題された。「オパビニア」と聞いてどの地質時代の生き物であるか、教科書の挿絵とともに思い出せるだろうか。どの地質時代にどの分類群が登場・繁栄したかだけでなく、その地質時代に繁栄した代表的な種についても、油断することなく把握しておきたい。資料集の絵を指さしながら名前と時代を口に出してみたり、当時の様子を何度も頭で思い描いてみたりと、決して文字だけで覚えないよう工夫してほしい。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認

徹底した教科書学習が何よりも大切である。また、教科書を読んで分からなかったところは、以下に挙げる参考書のいずれかを読んだりして、決して分からないままにしておかないようにしたい。

参考書
・『チャート式新生物 生物基礎・生物』(数研出版)
・『大森徹の最強講義117講』(文英堂)
・『大学入試の得点源[要点]』(文英堂)
・『理解しやすい生物、生物基礎』(文英堂)
・『生物 知識の焦点』(Z会出版)

初学者であれば、教科書を章ごとに読み込み、その章の基本問題に試しに取り組んでアウトプットしてみよう。きっと、覚えていなかったこと、理解していなかったことが見えてくる。解けなかった問題は躊躇なくすぐに教科書に戻り、再度読み直したり、図やグラフをノートに描いたり、参考書にあたるなどして、同じミスを繰り返さないようにインプットする。それでもやはり同じミスをすることはあるので、また即座に教科書に戻る。教科書と問題集による、インプットとアウトプットのサイクルが、知識の定着には一番の近道だ。いきなり発展問題などに取り組むなどせず、例題や基本問題の反復演習に努めるようにしよう。
国際医療福祉大学の場合、RNA干渉などが知識問題として出題されており、教科書のコラムや発展、脚注部分から出題されることは今後も大いにありうる。しかし、一般に、知識問題を教科書のコラムから出題されることはあまりないため、基本問題でアウトプットすることが難しいが、インプットにおいては決してスルーしたり、流し読みすることのないように心がけてほしい。

問題集
・『リードlightシリーズ(生物基礎、生物)』(数研出版)
・『生物 基礎問題精講』(旺文社)
・『らくらくマスター 生物・生物基礎』(河合出版)
・『生物用語の完全制覇』(河合出版)

■Step.2 実験、考察問題への取り組み

一般的に、生物の実験考察問題は、なんといっても文章が長い。国際医療福祉大学の生物の実験考察問題は、さほどリード文が長いわけではないが、それでも限られた時間の中で必要な情報を読み取り、その情報を適切に組み合わせる練習が不可欠である。そしてそのためには、リード文の内容を図にまとめることが有効だ。
遺伝子の発現など、実験考察問題が頻出の単元では、どの遺伝子や物質が何を促進、あるいは抑制しているのかがひと目で明らかになるよう、リード文の内容を簡単な図にまとめることができるようになっておきたい。「XがYを促進している=X→Y」といったルールを定め、実験を通して反応経路を一目瞭然にしていく要領だ。図を描くのに時間がかかっては本末転倒であるため、問題集の章末総合問題や発展問題を解く際には、素早くラフな図を描いて解くクセを付けておこう。教科書・参考書に掲載されているコラムや実験などの内容を、自分で図にして理解を深めておくのもよい。

問題集
・『生物[生物基礎・生物]標準問題精講』(旺文社)
・『生物の良問問題集』(旺文社)
・『生物 重要問題集』(数研出版)
・『セミナー生物』、『リードα生物』などの教科書傍用問題集

■Step.3 計算問題への取り組み

国際医療福祉大学の生物の計算問題は、化学では典型的な物質量計算の他に、生態系の物質生産に関する計算問題が出題されている。計算そのものはよくある平易なレベルであるが、試験時間に余裕がないため、呼吸、発酵、光合成における化学反応式などは係数も含めて覚えておくのがよいだろう。くれぐれも、計算の手前で「係数なんだっけ」などと躓いてしまうことのないようにしたい。

『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法』(旺文社)
『大森徹の生物 遺伝問題の解法』(旺文社)

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習

Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、Step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。
また、国際医療福祉大学の場合は化学の分量との兼ね合いがあるため、過去問を解くときには時間を計るようにし、生物40分(大問1題10分)を目安に取り組むこと。時間をかけてしまった問題があれば、どこの単元なのか、知識問題なのか計算問題なのか実験考察問題なのかを分析しなければならない。知識問題であれば教科書に戻って即答できるようインプットする。計算問題であれば、例えば化学反応式を係数までしっかり覚えて時短する。実験考察問題であれば、グラフの読み取りで詰まるようであれば、上で紹介した問題集のグラフの問題をピックアップしてあたる―このように、「時間がかかるが解ける単元は、弱点である」ということを自覚して学習に専念してほしい。

(参考)
東京女子医科大学|医学部|医学部カリキュラム
東京女子医科大学|医学部|医学部入学案内|一般選抜試験