学校教育を壊す
実業家であるホリエモンこと堀江貴文氏のこんな発言に端を発し、構想からわずか半年あまりで開校に至った『ゼロ高等学院(以下、ゼロ高)。「座学を目的とせず、行動を目的とする」をコンセプトに、「人生をかけて本当にやりたいことを見つける」ことを教育方針として掲げる学校です。

“ホリエモン主宰” と聞くだけで、普通とは一線を画している学校のような気がしてきますが……この『ゼロ高』、いったい何がすごいのでしょうか。10月28日に行なわれたイベントに登壇した、ゼロ高責任者・内藤賢治の談話から、いま話題のゼロ高に迫ります。

座学ではなく “実学” 重視

すでに高校を卒業している人は入学不可、まだ高校を卒業していない人だけが入学できるゼロ高は、神奈川県にある広域通信制高校「鹿島山北高等学校」と教育提携しています。同校に同時入学という形になり、必要な単位と在籍年数をクリアすれば、高校卒業の資格を取得することも可能です。

学校顧問には、著書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』で有名な坪田信貴氏や、元リクルートで東京都初の民間人校長を務めた藤原和博氏、講談社時代に『ドラゴン桜』などの編集を担当した佐渡島庸平氏といった、そうそうたるメンバーが名を連ねます。

これだけでもなんだかすごそうですが、このゼロ高が通常の高校と大きく違うのは、「勉強して知識を詰め込む」ことを第一目標にはしていないこと。これについて、内藤氏は “選択肢” という言葉を用いて次のように説明しています。

「普通に生活していると、地元の高校に通って、自分の偏差値にそれなりに合った大学に行って、就職活動をして企業に勤めて——という道しかありません。だから逆に学生時代に、学校に通うことに意味を見出せなくなって学校に行けなくなると、途端に将来の選択肢が狭まってしまう。このことが原因で不幸になってしまうのを救いたいのです」(内藤氏)

学生時代というのは、人生が何十年と続くことを考えると、ほんの一瞬に過ぎません。そのたった一瞬の期間のなかで少しつまずいてしまうだけで将来が不幸になってしまうという、既存の日本の教育制度ではどうしても起こりうる問題を変えていきたいのだと、内藤氏は言います。

「学校の先生や親御さんは、『とりあえず高校には行っておけ』『とりあえず大学には行っておけ』と言います。でも、将来何をやりたいのかまだわからない人は、その先にいったい何があるのかと戸惑ってしまうのです」(内藤氏)

ゼロ高のホームページには、教育方針として次のような記述があります。

座学を目的せず、行動を目的とする。それがゼロ高の教育方針です。

ゼロ高では、行動のための選択肢と環境を提供します。なぜなら、行動をすることによって、自分が本当にやりたいもの、人生をかけて関わりたいものが見つかるからです。

そのために、社会参画の場を多く用意します。

大切なことは自分でわかっていくしかない。それがゼロ高の教育方針です。

(引用元:ゼロ高等学院|教育方針)

在学中は、堀江貴文氏が主宰する会員制コミュニケーションサロン『HIU(堀江貴文イノベーション大学校)』のプロジェクトにも参加可能で、第一線で活躍しているプロのもと、例えば寿司職人になるための技術を学んだり、宇宙ロケットの開発に携わったり、プログラミングスキルを学んだりもできます。

将来の進路がまだはっきりとわからなかったとしても、まずはいろいろやってみようと。それがゼロ高です」(内藤氏)

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今の教育制度では “イノベーター” は輩出できない

堀江貴文氏の「学校教育を壊す」という発言から設立に至ったゼロ高。いまの日本の教育制度のどこかダメなのでしょうか。内藤氏は次のように述べています。

“実務者” をつくるのであれば、これほど優れたシステムはありません。でも、イノベーターをつくるのには適していない」(内藤氏)

先人たちが築いてきた既存のやり方に倣う。これが今の学校で教えられていることです。だからこそ、これまでは “高校→大学→就職” という「レール通りの人生」でも良しとされてきました。

しかし時代は変わり、終身雇用制度も崩れました。定年まで同じ会社で働き続けることが必ずしも当たり前ではなくなった(そして、その必要もなくなった)ことに、今の若い世代も気づき始めています。

「ゼロ高をやっていて思うのは、『大きな家を建てる』とか『良い車に乗る』といったことを目指している生徒は少ないということ。それよりも、どれだけ人や社会に貢献できるか?』という部分に価値を見出している人のほうが多いんです」(内藤氏)

荒稼ぎする人材はつくりたくない

10月に開校したばかりのゼロ高の生徒数は33人(※10月28日時点)ですが、11月には44人にまで増えるのだそう。ゼロ高が輩出を目指す人材像について、内藤氏は次のように語ります。

やたら荒稼ぎする人材を輩出するっていうのは、あまりおもしろくないと思っているんですよね(笑)。それよりは、地方創生や社会貢献の方面に関わってもらいたい」(内藤氏)

先述した通り、今の若い世代は、物やお金よりも「自分が何に貢献していけるか」に価値を見出したがる人が多くなってきているのだと言います。

「生徒には必ず『旗を立てろ』と言っています。『私はこれをやります』と宣言すると、必ず人は集まってくる。だから、まずは旗を立てろと。そうやって、いろいろな方面でおもしろいものを立ち上げてくれる生徒が増えればいいなと思っています」(内藤氏)

行きたくもない会社に行く。納得感のない仕事をする。そんなふうに「何かをやらされながら生きる」ことが人生のゴールであってはならないと、内藤氏は指摘します。

「ゼロ高在学中に “やりたいこと” を見つけて、踏み出していってほしいですね。くすぶっている人が自分で何かしらの道を見つけて、挑戦していく。ゼロ高が目指しているのはそこです。そして、輝いているプロスポーツ選手を見て、子どもが『将来ああいうふうになりたい!』と憧れるように、ぜひゼロ高からも、お金儲けではなく地方創生や社会貢献の方面で名を上げるようなスターが出てきてほしい。そして『ゼロ高に行けばすごい人になれるんだ』というインパクトを、社会に与えていってほしいと思います」(内藤氏)

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ゼロ高がどう学校教育を壊していくのか、今後も目が離せません。