どんなことも「継続は力なり」とよくいわれますが、勉強を続けていくためには、勉強を「あたりまえ」にできる習慣をつくっていくことが大切です。そこで今回は、「7回読み勉強法」を編み出して、塾や予備校に通うことなく東京大学法学部に現役合格し、さらに首席で卒業した経歴を持つ山口真由さんに、勉強を「あたりまえ」にできる大切な習慣づくりについて聞きました。

構成/岩川悟(slipstream) 取材・文/辻本圭介 写真/石塚雅人

毎回「同じこと」を繰り返すと、勉強の習慣をつくることができる

習慣を確立する秘訣は、長期にわたって毎回「同じこと」を繰り返すことに尽きます。これを自分なりに勉強法に落とし込んだものが、「7回読み勉強法」です。わたしがこの勉強法を確立したのは、中学生のときでした。教科書を何度も繰り返して読み、回数によって読む濃度(キーワードを拾って読む、要旨をつかむなど)だけを変えていくと、内容をほとんど覚えられることに気づいたのです。

また、勉強の習慣化という意味では、もうひとつ大きな利点がありました。それは、同じ内容の勉強を繰り返していると、自分だけが変化していくため自分の成長をより感じやすくなることでした。それがモチベーションにつながるという面でも、比較的続けやすい勉強法だと思います。

よく「読むだけで線などは引かないのですか?」と聞かれますが、わたしは本に書き込みなどはしません。なぜなら、基本的に大事なことは最初からで太字になっているし、文章量も多めに記載されているからです。そのまま素直に読んでいけば、重要度は自然にわかるようになっているのです。

そして、ここにも勉強の習慣化が関係しています。なぜなら、本に書き込むのは基本的に机の上でしかできませんが、「どこでもすぐにはじめられる」ことが、勉強の習慣化ではとても大切なことだからです。わたしは高校時代、通学電車のなかなどですぐに本を開けるようにしていました。歩いていても、「信号待ちが長いな」と思ったら読んでいたほどです(笑)。

受験にこそパーソナルトレーナーを。4年間、一次試験すら通過できなかった僕が『医学部合格』を勝ち取れた理由
人気記事

教科書の「7回読み」で数々の試験を乗り越えた

わたしの高校時代の勉強は、基本的に教科書を繰り返し読むことが中心で、逆に教科書に載っていないことは覚えませんでした。載っていないことが問題に出ることもありますが、それはもう問題が悪いのです(笑)。そんな問題に振り回されると、「これも、あれも」と気になって、結局もっとも大切な教科書すら覚えられないことになりかねません。教科書に載っていないことが出たときは、「これは落としても仕方ない」と割り切ったほどです。

大まかにいえば、学校の試験なら教科書を繰り返し読み、大学受験なら教科書にプラスして自分に合った参考書や問題集を1冊選べば十分なのではないでしょうか。わたしは、受験でもほとんど教科書だけで勉強しました。注記などを含めて細かいところまで徹底的に読み込めば、相当情報量があるので十分でしたね。ただ、わたしが国立志望だったことは勘案する必要があるかもしれません。基本的に、国立では教科書に載っていないことは出ませんから。もし私立専願であれば、一問一答などの問題集を加えてアレンジするのも良いでしょう。

参考書については、できる限り「網羅性」を重視して基本書を1冊見つけることをおすすめします。この選ぶプロセスがとても大切。教科書で習った箇所の記述を複数で比較し、いちばんしっかりと情報が書かれているものを選びましょう。自分が選んだ本に自信を持てないと、途中で他の人の勉強が気になって、「あっちのほうが詳しいかも……」とふらふらしてしまいます。それでは時間がもったいないし、なにより中途半端な取り組み方になってしまいます。

わたしは、教科書を中心にしながら、科目ごとに「教科書+ノート」「教科書+参考書」といった感じで組み合わせて、セットで「7回読み」をしていました。ノートに力を入れている先生もいるので、場合によってはノートを中心にして教科書と組み合わせてもいいと思います。

生活上の行動一つひとつに、自分なりの時間を決めて守り抜く

勉強に取り掛かりやすくなる生活習慣についても、いくつかご紹介します。まず、わたしはいまでも、朝起きたらすぐに机に向かって本を開きます。もちろん、内容が頭に入らない日もありますが、それでも構わず読み続けるのです。そうした行動を学生時代から続けていることで、自然と「机に座る習慣」がつきました。そもそも、やる気が起こらなければ勉強できないのなら、勉強を続けることはできません。そこでみなさんもぜひ、ベッドと机を近接させて、部屋の配置を「勉強仕様」に変えてしまうことをおすすめします。

また、自分が集中できる時間帯に勉強することも大切です。よく「朝型がいい」といわれますが、わたしは完全な夜型人間。朝に勉強したこともありますが、眠くてまったくダメでした。そんな経験も踏まえての提案になりますが、自分が集中できる時間帯に合わせて生活を組み立ててみてはいかがでしょう。たとえば、夕食後に眠くなったり、入浴後にスッキリしたりするなど、人それぞれの傾向があると思います。そんな場合は、夕食から入浴までのあいだをできるだけ短くし、入浴後に勉強時間を確保するなどの工夫ができます。

生活習慣において、絶対に避けたいこともあります。それは、「時間を決めない」ことです。たとえば、テレビを観るのは別にいいのですが、時間を決めずに観るのは良くありません。だらだら観ていると、勉強に取り掛かるのがどんどんおっくうになるからです。そこで、大まかでいいので、生活上の行動一つひとつに時間を決めて、決めたことを守るように意識してください。わたしは海外小説が好きだったので、本当であればその世界に没頭したいところを、ある一定の時間だけ読むと決めていました。

このように、自分なりに時間を決めて生活していると、自分が集中できる「時間の範囲」もわかるようになってきます。いまのわたしは90分単位で集中し、90分が経てば立ち上がったりコーヒーを淹れたり、科目や作業を完全に変えてリフレッシュするようにしています。集中力が切れると勉強の効率は確実に落ちるので、勉強が「苦行」のようになってしまいます。

じつは、わたしが大学生で司法試験を受けたときは、毎日3時間睡眠で勉強していました。20分×3で3食を食べ、20分で入浴し、10分で北海道の実家に電話して、残り19時間半を勉強に費やしたのです。なぜそこまで勉強したのかというと、口述試験を控えた段階で急に「受からないのでは……」と不安になったからでした。性格上、不安を抱えて悶々とするくらいなら、集中できなくても勉強していたほうがマシだったわけです。でも、結論としては、睡眠は6時間を確保すべきということ。3時間睡眠は、まったくおすすめできません(笑)。

「勉強は面白いもの」と思うことをやめる

勉強を「あたりまえ」にするための方法を紹介してきましたが、勉強を続けられない大きな理由として、「そもそも勉強が面白くない」ことが挙げられます。しかし、わたしが声を大にしていいたいのは、「勉強は面白いもの」と思うことをやめることです。わたし自身、受験勉強が面白いと思ったことなど一度もありません(苦笑)。「勉強は面白くない」とあきらめたうえで、割り切って勉強するしかないのです。

では、なぜ面白くない勉強をするのか――。それは、自分自身の「目的」のためです。将来なりたいものがあるから勉強するのだし、大学に受かりたいから勉強する。単純に、そういうものだととらえることです。まず、「勉強は面白くないもの」だと受け止めて、「なぜ勉強することは辛いのだろう」と思い悩むのではなく、「目的のためにやらなければならないこと」だと考えてみてください。そうして辛さを乗り越えて最後までやり切れば、きっといい結果が待っています。

わたしは、小さいころから将来の目的を強く持っていました。小学生のときに、「官僚になりたい」と思ったのです。そのため、そこから逆算して「官僚になるためには東大法学部にいかなければならない」「東大法学部にいくためには……」と考えて、自分の夢と受験勉強を結びつけました。自分が将来どんなことをして生きたいのかを考え、そのために勉強することができれば、「楽しくない勉強」を続けていく原動力になるはずです

勉強することが目的になると、別に試験には受からなくてもいいことになります。たとえ学者を目指すとしても、試験には受かる必要があるので受験ではあまり余計なことを考えないほうがいいのかもしれませんね。もちろん、目標は「大学に合格するため」で良いのですが、将来をより大切に考えるなら、もっと先の将来の夢を描いてみるのはいかがでしょう。少なくともいえることは、受験勉強自体に夢を見たり、悩んだりしないほうが良いのです。

【山口真由さん ほかのインタビュー記事はこちら】
最速で確実に結果がついてくる「7回読み」勉強法
学力向上は生活習慣の確立と時間の使い方で勝負が決まる
仕事で大きな成果を導く「俯瞰力」
「勉強さえできればいい」は危険? 高校生のうちから意識すべき、社会を生き抜くために必要な力

『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55: 家庭でできる最難関突破の地頭づくり』

山口真由 著

学研プラス (2018)

【プロフィール】
山口真由(やまぐち・まゆ)
東京大学法学部在学中3年次に司法試験、翌年には国家公務員Ⅰ種に合格。学業成績は在学中4年間を通じて「オール優」で4年次には総長賞も受ける。2006年4月に財務省に入省し、主税局に配属。08年に退職し、09年から15年まで大手法律事務所に勤務し企業法務に従事。15年から1年間ハーバード・ロースクールへの留学、修了し、ニューヨーク州弁護士資格も取得。現在は、テレビのコメンテーターや執筆でも活躍している。著書に『東大主席が教える超速「7回読み」勉強法』、『東大主席が教える「間違えない」思考法』(以上PHP研究所)、『リベラルという病』(新潮社)、『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55:家庭でできる最難関突破の地頭づくり』(学研)など多数。