複素数平面の基礎固めが終わったら、この一冊で徹底網羅!

2012年度より開始した新学習指導要領で数学Ⅲという形で再び舞い戻ってきた「複素数平面」。それまで理系数学の頻出分野の一つであった「行列」は身を引き、大学入試数学は次の世代を迎えました。行列が旧数学Cの大半を占め、学習項目が多かったのに対して、複素数平面について教科書で扱われる項目はたったの4つ。「複素数平面」「複素数の積・商と極形式」「ド・モアブルの定理」「図形への応用」。知識事項の面では微積分などと比べれば雲泥の差であるにもかかわらず、理系入試ではメイントピックの一つとなっています。その理由は、複素数が高次方程式の虚数解として存在するという代数的側面を持っている一方、積や商に幾何的意味合いを見出すことで平面上で点あるいはベクトルの回転・相似拡大といった幾何的な考察を深めることができるという複素数平面の幅広さにあります。したがって、高次方程式やベクトルをしっかり理解していないといけない。他にも軌跡と領域や点列の極限など、他分野との融合が激しいのです。教科書に書かれている内容だけを理解しても、ベクトルや高次方程式、加えて極限や軌跡・領域など他分野の理解が浅いと問題を解くことができません。
本書はその複素数平面について、入試で出題されるパターンあるいはテーマについてコンパクトに網羅した問題集であり、1冊やりきることで複素数平面の実力を大学入試で戦えるレベルに引き上げることができるものです。さらに簡単すぎず難しすぎずという絶妙な難易度設定で、標準レベルから東大・京大対応レベルまでステップを飛ばすことなくたどり着くことができます。

例題36題、類題38題、合計74題にコンパクトに入試の全分野を詰め込み

筆者は河合塾専任講師 西山清二氏。大学院で複素関数論を専攻した、まさしく複素数平面マスター。通常の問題集では、1のn乗根関係の問題など2, 3問程度しか扱われず、内容も1の5乗根あるいは1の7乗根がほとんど。しかし、本書では類題含め10題も収録。4乗根、5乗根、7乗根に加え原始6乗根まで扱っており、n乗根関係の対策はこれでもかといわんばかりに分厚く対策できます。もちろん、昨今のトレンドである、軌跡と領域との融合問題や、極限との融合問題も扱っており、たったの70題強で驚くほど網羅できています。

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旧帝早慶・東大京大・国公立大学医学部まで対応

著者は河合塾にて医学部コースをメインに担当していることもあり、本書の出典も国公立大学・私立大学の医学部が多いように思います。したがって、問題のレベルは国公立大学医学部まで対応しています。逆にいえば、基礎固めをしてからでないと問題の解法やテーマ自体の理解が難しいので、『大学への数学 1対1対応の演習 数学Ⅲ 曲線・複素数編』(東京出版)や『チャート式 基礎からの数学Ⅲ』(数研出版,いわゆる「青チャート」)などの標準レベルまでの問題集で基本的な処理を手に入れてから、本書に取り組むようにしましょう。

問題が雑多に並ぶのではなく、根底に眠る理論を学習できるように設計

通常の問題集では、とにかく問題を解いて答え合わせしていきながら、自分の思考の過程を修正していくという流れになるはずで、特に何の定理や理論がバックグラウンドにあるかということは、受験生にとってはあまり把握できないことが多いのではないでしょうか。本書では、問題自体が有名な定理の証明問題となっていることもあれば、解説で問題の裏にあるテーマとなる定理・理論をきちんと説明してくれているたりします。とはいえ量はきっちりコンパクトに整頓。必要十分な量だけを提供し、「解説しすぎない」スタイルに教育的配慮すら感じます。

例題だけでも美味しい。しかし演習量確保は別で。

例題36題をやるだけでも頻出内容の大半をカバーできます。しかし、理論がわかっても実践できるかは別物。複素数平面できっちり得点したいのであれば、『三訂版 オリジナル・スタンダード数学演習Ⅲ』(数研出版)や『数学 分野別標準問題精講 二次曲線・複素数平面』(旺文社)といった入試標準〜難関レベルの問題集で30題ほど練習してみてください。さすがにそこまでやれば、もう複素数平面の対策は終了として良いでしょう。ほとんどの入試問題で複素数平面が得点源になっているはずです。